シリーズSDGs、「地球を笑顔にするウィーク」です。北欧・ノルウェーで今、注目されているニュース番組があります。「難しい言葉を使わず、情報量は少なめに」。番組を作るのは知的障害などがある人たちです。

ノルウェーのニュース番組「TV BRA」。週に一度、政治やスポーツなどを伝える番組です。

記者
「番組のリハーサルが行われています。出演者3人には知的障害があるということですが、軽快なトークで番組は進行しています」

知的障害や発達障害などがある障害者による障害者のためのニュース番組です。

アンダース記者
「リサさん、2025年で特に良かったことは何ですか?」
リサ記者
「今年は知的障害者のためのスペシャルオリンピックがあって、とても良かったです」

難しい言葉は使わず、ナレーションはゆっくり、情報量も少なめに。他の番組とは一線を画しています。一方、率直な言葉で首相に直撃取材することも。

アンダース記者
「(福祉サービスの削減を)阻止するために国は何かできないのですか?」
ノルウェー ストーレ首相
「私は責任を負うべきなのは自治体だと思います」

視聴者は…

障害のある視聴者
「政治家はTV BRAの記者の質問に率直に答えていると思う」
「すごくわかりやすいです」

TV BRAでは、障害のある記者たち総勢10人が全国各地に配置されています。この日、発達障害があるアンダース記者が街頭インタビューを行うことに。

アンダース記者
「この1年で最も印象に残っていることは何ですか?」
カミラ編集長
「この答えを引き出さないとね」

編集長のカミラさんら3人の健常者が彼らをサポートしています。

アンダース記者
「少し手伝ってもらっていますが、質問は自分で考えています。政治やスポーツについて質問するのが好きです」

アンダース記者は、質問を繰り返し唱え、覚えながら現場に向かいます。

アンダース記者
「TV BRAですが…、2026年はどのようなことが起きて欲しいですか?」

「多くの人の自然や環境に対する意識がもっと高まればいいですね」

障害のない人たちも番組を視聴しています。ほとんどの人が足を止め、アンダース記者の質問に答えます。

「簡単な言葉とシンプルな説明で、とてもいいニュース番組だと思います」

社会で幅広い支持を得ているTV BRA。番組を立ち上げたカミラさんは、社会にとって、障害のある彼らの言葉や視点が重要だといいます。そして…

カミラ編集長
「人が人生に何を求め、社会にどう貢献できるかを考えなければなりません。彼らがチャンスを得て成長していく姿を見るのは素晴らしいことです」

「新たな可能性を広げたい」。記者たちは日々取材を続けます。