火星と地球からの観測で分かったこと

2025年7月1日に発見された3I/ATLASは、通常の彗星とは異なり、太陽系の外から飛来してきました。太陽系の外からやってくる恒星間天体は非常に珍しく、観測史上3つ目となります。

2025年7月に発見された恒星間天体「3I/ATLAS」(ESA / ラス・カンブレス天文台)

「3I/ATLAS」の直径は、440メートルから5.6キロメートルと推定されていて、時速約21万km=秒速58キロという驚異的な速度で太陽系を突っ切っています。太陽系を回っている彗星とは違い、二度と戻ってくることはありません。

火星探査機を使った観測とは

「3I/ATLAS」の軌道計算は、これまで地球からの観測データに限られていました。しかし、「3I/ATLAS」が、10月1日から7日にかけて火星の約2900万km近くを通過した際、ESAなどの火星探査機エクソマーズ・トレースガス・オービターが観測を実施し、これをもとにESAが軌道計算をしました。

「3I/ATLAS」を観測したエクソマーズ・トレースガス・オービター(ESA)

この火星周回軌道からの観測で、地球からとは異なる角度からデータを取得することができました。この2つの視点を組み合わせた三角測量で、「3I/ATLAS」の軌道予測精度が飛躍的に向上したのです。