長年にわたって歴代の総理大臣が、8月6日の広島平和記念式典で述べてきた「非核三原則」の堅持。高市総理が見直しを検討する方針との報道を受け、広島県内の被爆者たちが怒りの声を上げています。

佐藤栄作元総理大臣(1968年の国会答弁で)
「核兵器の絶滅を念願し、みずからもあえてこれを保有せず、その持ち込みも許さない決意であります」

核兵器を「持たず、つくらず、持ち込ませず」とする政府の方針は、佐藤元総理の1967年12月の表明以来、60年弱にわたって確立されてきました。石破茂元総理をはじめ、岸田文雄元総理、故・安倍晋三元総理など、歴代の総理が平和記念式典で「非核三原則を堅持」と発言し続けてきています。

しかし、高市総理は先週の衆議院予算委員会で、「非核三原則」を堅持するか問われたときに明言を避け、その後、見直しを検討する方針との報道がなされました。

去年、ノーベル平和賞を受賞した日本被団協の箕牧智之代表理事は、非核三原則の見直しは極めて危険だと訴えます。

日本被団協・箕牧智之代表理事
「大問題。80年間核兵器を使われずに済んだということが、ノーベル平和賞に繋がったと思う。核兵器は一発使われたら使い返すことになるので、2発使うことになる。それこそ森瀧市郎さんが『核と人類は共存できない』と言ったように、人類破滅の道を歩むようになる」

また、県被団協・佐久間邦彦理事長は、核兵器の持ち込みを許せば日本はアメリカの核戦略に巻き込まれ、攻撃対象になる可能性もあると危惧します。

県被団協・佐久間邦彦理事長
「アメリカの核戦略に完全にはまってしまう。外交を中心とするべきであって、核を持ち込むのは日本がより戦争に巻き込まれる方向に行く」

被爆者たちが80年にわたり訴え続けてきた核兵器のない世界。節目の年に、大きな議論を呼びそうです。