今年全国で過去最多を更新したクマの出没。
島根県大田市の小学校近くでも目撃され、集団下校など、対応が続いています。
住宅地でも銃でクマを駆除できる「緊急銃猟」が始まり、警察による駆除もできるようになりましたが、街中でクマを撃つこと、ベテラン猟師でも難しいようです。
記者 土江諒
「大田市の仁摩小学校に来ています。本当にのどかな場所なんですが、裏に見える山でクマが目撃されました。校庭で遊んでいた子どもたちが見かけたということです」
12日午後1時半ごろ、大田市の仁摩小学校で昼休みに校庭で遊んでいた児童が隣接する山に体長1.3メートルほどのクマとみられる動物が入っていくのを目撃しました。
学校では当面、集団下校とするなど対策を講じていますが近くの住民は不安を露わにします。
近所の人は
「仁摩小学校で出たって聞いて私も車で5分くらいのところだから玄関出るのもそーっと開けて」
「(クマは)大体山の方に出ますでしょ。仁摩の奥の方でも出たって聞いて、ふーんって言ってたんだけど、あそこ海の近くなのにクマ来るんだと思って」
住民によるとイノシシなどに比べると少ないものの、付近でクマが見かけたという情報は確かにあるとのこと。市は小学校での目撃ということで、警戒を強めています。
大田市役所 農林水産課 森山久利 課長
「姿だったり足跡の痕跡は今回見受けられなかったが、現状を注視し見守っていきたい。センサーカメラの設置だったり、島根県と協力してクマ用の捕獲檻の設置も視野に考えているところ」
そして「緊急銃猟」については県などと相談し万が一に備えて、体制を整えているということです。
人里に近づくクマ、決して遠いところでの話ではありません。
「クマ対策のため出動します」
国家公安委員会規則の改正に伴い、警察官によるライフル銃を使ったクマの駆除が可能になり、秋田県警のプロジェクトチームが編成されました。
今年のクマの出没件数は上半期だけで2万件を超え過去最多、死亡事故も13件と過去最多を更新、9月にはヒトの生活圏でも市町村長の判断で猟銃を使って捕獲できる「緊急銃猟」制度が始まりました。
日野郡猟友会(鳥取県) 高野伸也 会長
「イノシシとか大型のやつに使うのがこんなスラッグ弾と言われるものなので、これが一発玉で非常に殺傷能力が高いものになります」
猟友会歴11年の高野会長、動く動物を撃つのはかなり難しく、行動パターンや逃走ルートなど安全な射撃ポジションの把握も不可欠だということです。
日野郡猟友会 高野伸也 会長
「銃に慣れ親しむということができるかできないかというのは大きな差だと思う。本当に僕はたまたま幸運でそういった機会に多く恵まれたので問題なかったかなと思う」
山の中でなく、街中で行われる「緊急銃猟」。
猟友会歴10年を超える高野会長ですら市街地で銃を扱うことと、クマ駆除の経験値・知識が足りないと不安をのぞかせます。
さらに、クマは一撃必殺が鉄則で、急所を一発で仕留めないとクマがより狂暴化するリスクもあります。
日野郡猟友会 高野伸也 会長
「先駆者の事例が東北とかにいっぱいあるんでそういったのをきちんと学びながら対峙していけたらなと。いざやるとなったらきちんと対応できるようにしておきたいなと思う」
東北と違いクマのえさとなるコナラなどが豊作だった今年の山陰地方では、クマの人里への出没は限定的ですが、被害のない今のうちにクマをおびき寄せる放置果樹の撤去など、対策を進めることが大切です。














