役目を終える「初霜」と「初氷」の目視観測とその方法

「初霜の観測方法」
初霜の観測は気象台や測候所の敷地内、または観測露場と呼ばれる決まった場所で職員が地面や草の上に霜が降りたかどうかを目で見て確認することで行われてきました。

気象予報士 森 朗氏:
霜は地表面の温度が氷点下になることで、空気中の水蒸気が氷の結晶となって付着する現象です。地域によっては黒いタイヤや炭などを置いて霜が見えやすくする工夫をして観測していました。

初霜観測用のタイヤと草(提供:RSK山陽放送)

「初氷の観測方法」

気象予報士 森 朗氏:
初氷の観測には「結氷皿」という物が使われ、その水面に氷が張ったかどうかを職員が目で見て確認します。水の表面が薄くても完全に氷に覆われている状態が確認されると「結氷」が観測されたとなり、その年の最初の観測日が「初氷」となります。

左:様々なデータを観測している露場/右:結氷皿。縁についている棒は鳥除け。

これまで初霜や初氷は、農業への影響や日常生活での注意喚起(水道管の凍結など)として非常に重要な情報とされてきました。

しかし気象庁は、令和7年度の冬シーズン(2024年12月・2025年1月、2月)をもって初霜と初氷の目視観測終了を発表しました。

気象予報士 森 朗氏:
今まで目視観測により局地的な「点」の情報だけだったのが、アメダス(地域気象観測システム)やその他の観測情報、コンピューターシステムの発達によって、全国を網羅する「面」での情報の把握が可能になったため、目視観測は役割を終えることとなりました。

アメダスなどの観測情報で細かいことまでわかるようになってきました。(提供:ウェザーマップ)