「開催してよかった」の評価はこれから
万博は、良くも悪くもお祭り騒ぎ。始まってしまえば、連日何らかのニュースが流れ、「行ってよかった」「来て楽しい」という声に接すると、それなりに馴染みも出てくるもの。実際、冷ややかだった筆者の態度も、「ミャクミャクのぬいぐるみは欲しいかも」と思う程度には軟化。
「1970年の大阪万博も、次世代のデザイナーや建築家、アーティストらが自らの表現の場にして、その後の飛躍につなげた。子どもたちも好奇心や探究心を育んだ」(朝日新聞、25年10月11日)ように、今回の大阪・関西万博もお金では表せない価値があったはず。
1970年当時よりも少子高齢化が進み、格差が広がった2025年の日本。昔より豊かさの実感が持てない中、巨費を投じて開催した万博の主目的が国威高揚や経済的利益だとしたら、筆者には時代錯誤に思えます。
万博は、関わった多くの人の心に、良いと思える体験を深く刻んだ模様。そうした人の中から、この先、万博のテーマである「いのち輝く未来社会」につながる何かが生まれたとき、大阪・関西万博が真に「開催してよかった」ものになるのでしょう。
注1:TBS生活DATAライブラリ定例全国調査は、TBSテレビをキー局とするテレビの全国ネットワークJNN系列が、毎年11月に実施する大規模ライフスタイル調査です。同じ回答者にメディア行動や価値観、個人材・世帯財の購入などを総合的に調査するシングルソースデータです。
注2:グラフは集計結果の数値を小数第1位まで使って作成していますが、ラベルの数字はそれを四捨五入しています。そのため、ラベルの数字が同じでも、グラフの棒の長さに若干差がある場合があります。
注3:毎年11月に行うTBS生活DATAライブラリ定例全国調査で、TBSテレビ担当の調査対象者(東京駅起点30km圏(東京・千葉・埼玉・神奈川)在住の13~74歳男女)の中から、翌年の2月・5月・8月に行う追加調査も引き受けてくれる人を、首都圏追加パネル調査の対象者としています。有効回答数は、2024年11月全国調査が1,744人、追加調査は25年2月が964人、5月が941人、8月が914人でした。定例全国調査は69歳までが対象のところを、TBSテレビが独自に70代を追加しています。
今回は最初に69歳までで全国集計しているのと、同じ回答者の意見の変化を追いかけるために、追加調査の集計対象は「3回の追加調査に全て回答した69歳以下の人(753人)」としました。この753人と全国調査回答者(1,744人)の性年齢構成を比べると、前者の方が20代男性が少なめ、60代女性が多めな傾向がありましたが、全体として大きな差は認められませんでした。
引用・参考文献
公益社団法人2025年日本国際博覧会協会「【更新】来場者数と入場チケット販売数について」『EXPO 2025 大阪・関西万博公式Webサイト』 2025年10月23日最終更新
<執筆者略歴>
江利川 滋(えりかわ・しげる)
1968年生。1996年TBS入社。
視聴率データ分析や生活者調査に長く従事。テレビ営業も経験しつつ、現在は法務・コンプライアンス方面を主務に、マーケティング&データ戦略局も兼任。
【調査情報デジタル】
1958年創刊のTBSの情報誌「調査情報」を引き継いだデジタル版のWebマガジン(TBSメディア総研発行)。テレビ、メディア等に関する多彩な論考と情報を掲載。原則、毎週土曜日午前中に2本程度の記事を公開・配信している。














