任期満了に伴う鹿児島県いちき串木野市の市長選挙が2日に告示され、現職と新人のあわせて3人が立候補しました。
8年ぶりの選挙戦の争点は?3人の主張を取材しました。

いちき串木野市長選挙に立候補したのは、
▼現職で2期目を目指す中屋謙治さん
▼新人で元いちき串木野市議会議員の田畑和彦さん
▼新人でNPO法人理事長の橋口了さん
の3人で、いずれも無所属です。

現職の中屋さんは、いちき串木野市出身の70歳。市の職員や副市長を経て、4年前の市長選では無投票で初当選しました。1期目の実績に子育て支援などをあげ、人口減少対策やまちの魅力づくりに取り組みたいと訴えています。

(中屋謙治 候補(70) 無・現(1))「施策がやっと実を結び始めている。事業を実施することで経済の流れ、お金の流れが出てくるはず。地域の活性化につながるはず。それには皆さんの力がどうしても必要」

中屋さんは自民党県連の推薦を受けています。

(自民党・吉留厚宏 県議)「人口が少なくなってきている。どうかしないといけないのが最優先課題。2期目、何が何でも中屋市長には通ってほしい」

新人の田畑さんは、いちき串木野市出身の71歳。鉱山会社の顧問などを経て2021年の市議会議員選挙に立候補し、初当選しました。民間企業で勤務した経験を生かし、少子化対策や産業の誘致などを進めたいと訴えています。

(田畑和彦 候補(71) 無・新)「スピード感を持ち、民間感覚で市民の皆さんの笑顔と幸せのため、明るく元気で豊かなまちづくりのため、将来のために力を尽くして頑張る。どうか使ってください。試してください」

田畑さんの兄は、元いちき串木野市長の田畑誠一さんです。誠一さんは4年前の前回選挙で中屋さんを後継として推しましたが、「このままでは市政が停滞するという市民の要請に応えたい」とし、今回は弟の支援に回りました。

(田畑候補の兄・田畑誠一 元市長)「安定した行政運営を望むのか、それとも市民が主役で自由かっ達に希望の光を追い求めることを期待する行政運営を望むのか」

新人の橋口さんは、薩摩川内市出身の71歳。いちき串木野市で放課後児童クラブなどを運営しています。いちき串木野市沖で計画されている洋上風力発電や学校の統合に反対していて、市長の給与半額や子育て支援などを訴えています。

(橋口了 候補(71) 無・新)「洋上風力の建設に反対。もう一つが学校の統廃合に対して反対している。そのような二つを争点に頑張っていきたい」

橋口さんを支援する市民は政策の実行力に期待します。

(橋口候補の支援者)「(公約で)市長の給料を半分にすると公約している。大きく変わると思う」

(橋口候補の支援者)「洋上風力問題。長い時間がたったとき、『あぁしまった』となったら大変」

(記者)「争点の一つになっているのが洋上風力発電。いちき串木野市の沖合海域も候補地になっています」

洋上風力発電をめぐっては、三菱商事が国内3か所の海域で撤退を表明するなど、エネルギー政策は転換期を迎えています。

(自営業50代)「電気を使う身としては代替は必要だと思うので賛成。自然のものを使って電気をつくれるなら、それが一番」

(70代)「いいほうには考えていない。なるようにしかならない。できたらやめてほしい」

中屋さんと田畑さんは計画の推進、橋口さんは中止を訴えています。

(中屋謙治候補)「いちき串木野市の沖合はそれ(洋上風力)に適した風が安定的に吹いている。これを生かさない手はない。このことは地球環境だけでなく、市の経済に大きな効果がある」

(田畑和彦候補)「洋上風力はすそ野が広い産業、事業。いろいろなかたちで、すそ野が広がり、経済効果が生まれる。その観点から賛成」

(橋口了候補)「私たちの海を犠牲にしてどこに電気を送ろうとするのか。なぜ私たちの海が犠牲にならないといけないのか。そう考えると洋上風力を建ててもらっては困る」

人口減少対策も急務です。いちき串木野市の人口は、この20年間で3万3000人から、2万5000人に減少。15年後の2040年には2万人を割り込む見込みです。

人口減少対策や子育て支援について
▼中屋さんは保育料、学校給食費、子ども医療費の無償化を継続し、子育てと仕事の両立を支援する。

▼田畑さんは保育料、学校給食費、子ども医療費の無償化を充実させ、小児科の誘致や子どもの居場所づくりを支援する。

▼橋口さんは助産院を開設して出産から育児までをサポートし、空き家を活用して子育て世帯の移住につなげたいとしています。

市長選の投票日は9日日曜日で、即日開票されます。