「60兆円」投資はビジネスチャンス?
そして、両首脳が署名を交わした中で【ファクトシート】も注目だという。
『明星大学』教授 細川昌彦さん:
「関税の合意での80兆円の投資の話。その候補になりうるような企業リスト、60兆円にものぼる規模の共同ファクトシートを出した」
<日米 投資に関する共同ファクトシート>
▼【分野】エネルギー・AI向け電源開発・AIインフラの強化・重要鉱物等
▼【事業規模の総額】最大3934.5億ドル(約60兆円)
▼【関心を示す日本企業】ソフトバンクグループ・東芝・三菱重工業・IHI・日立製作所・三菱電機・フジクラ・TDK・村田製作所・パナソニックなど
――そもそも日米間では5500億ドル(約80兆円)の投資枠があって、そこに日本の公的金融を入れていこうという話がある。これと、ファクトシートの60兆円は重なっている?

『明星大学』教授 細川昌彦さん:
「一部重なっていると思う。大事なのは『関心を示す』と書いてあって『投資』とは書いていない。日本企業の投資だけではなく、例えばアメリカの企業がAI向け電源の発電所を作ると。そこに日本の関心企業が発電機器を納入するとかそういうものも全部入っている。そして実はそれも、80兆円の対象になりうる」
対米投資5500億ドル(約80兆円)の仕組みは
▼米「投資委員会」が案件検討⇒▼日米の「協議委員会」で協議⇒▼米「投資委員会」の推薦の中からトランプ大統領が投資案件を決定
トランプ大統領が案件を決めたら
▼プロジェクトを管理する「SPV」(特定目的事業体)が設立され
▼その「SPV」に対し、日本の政府系金融機関である「JBIC」(国際協力銀行)や「NEXI」(日本貿易保険)が、出資・融資、民間金融機関の融資保証を行う

細川さん:
「アメリカの投資委員会が選定して、JBIC(国際協力銀行)などが出資・融資をする形だが、SPV(特定目的事業体)は決して日本企業だけに限定されないところがポイント。みんな日本企業がアメリカに投資をする案件ばかりイメージするが、そうじゃなくて、アメリカ企業、場合によっては第三国企業がアメリカに投資する。そこにJBICが融資をするのも80兆円の対象になる。JBICが他国の企業に融資をする理由は、日本企業から機器などを買うという条件がきちんとあるから」
――つまり日本の公的金融でお金が出ていくが、そのお金を使って機器などを買う時に日本の企業から買ってもらえるという構図
細川さん:
「だからこそ『日本企業にとってはビジネスチャンスになりうる』と関心を示している企業がこれだけある。ただし、今のところ純粋にアメリカに投資をする企業もあるし、単に機器を納入するという企業など色々入っているので、それを足し合わせて60兆円というのはあまり意味のある数字ではない」














