箱根駅伝で異次元のスピード
昨シーズンの大学駅伝では、4年生選手たちが熱い戦いを繰り広げた。10月の出雲全日本大学選抜駅伝では6区で國學院大の平林清澄(22、ロジスティード)が区間賞、青学大の太田と駒大の篠原倖太朗(23、富士通)が同タイムの区間3位。3人は11月の全日本大学駅伝7区でも直接対決し、篠原が区間賞、10秒差の同タイムで平林と太田が区間2位。そして今年1月の箱根駅伝は太田は4区に出場し、区間2位に45秒と200m以上の差をつけた。
東日本実業団駅伝の区間エントリーは、11月2日の監督会議後に公表される。3人が同じ区間を走る可能性も2~3割程度はあるだろう。
「任された区間をしっかり走ろうと思っていますが、(新人選手たちと)同じ区間だったら、昨年の全日本大学駅伝7区を思い出しますかね。それほど意識するわけではありませんが、楽しみではあります」
昨シーズンは出雲、全日本と区間賞は取れなかったが、箱根駅伝は前述のように区間2位以下を圧倒した。3年時も区間賞は箱根駅伝3区だけだったが、そのときのスピードが異次元だった。22秒(100m以上)先に中継所をスタートした佐藤圭汰(21、駒大現4年)に7.6kmで追いつくと、10kmを27分26秒で通過した。太田の10000m自己記録は28分20秒63で、学生日本人最高記録は27分21秒52である。緩やかに下るコースで追い風があったとしても、普通ではあり得ないタイムだった。
さらに驚かされたのは、これだけのハイペースで前半を走っても、1500mの高校記録を持つスピードランナーの佐藤に後半で競り勝った。佐藤は「5kmを14分00秒と予定通りのタイムで入ったのに、太田さんがすぐ後ろに迫っていて、5kmを過ぎてさらにハイペースになってしまいました。レースプランを崩されてしまった」と振り返った。箱根駅伝の太田は「別人になる」という指摘が、駅伝のテレビ解説者などから出たほどだった。太田自身は駅伝で、いつもと違う走りができることを次のように話している。
「駅伝なら(速いペースで)突っ込んでも、トラックレースみたいにキツくならないんです。応援がすごく力にできるのは、自分の強みかもしれません。(東日本実業団駅伝の3区16kmでも最初から)走れると思います」
タスキを受けた太田が、どんなスピードで走り出すか。東日本実業団駅伝の大きな注目点になる。

















