前回優勝のGMOのレース展開は?

GMOインターネットグループは東日本実業団駅伝のディフェンディングチャンピオン・チームである。昨年は1か月後の福岡国際マラソンで優勝(2時間05分16秒の日本歴代3位)する吉田祐也(27)が1区で独走に持ち込んだ。その後もセーフティリードを保ち、2位に1分53秒差でフィニッシュした。今年は世界陸上に出場した吉田は、疲れを考慮して起用しないが、太田と5000mで13分18秒51の記録を持つ鶴川正也(23、青学大出)が加入したことで、前半から攻めのレースができる布陣ができる。

鶴川正也選手(25年箱根駅伝)

「駅伝は先手必勝、流れが重要です」と伊藤公一監督。「祐也のようなリードはできなくても、1、2、3区で前に出て行きたい。4、5、6区が8.2kmと短い区間が続きますが、そこに備えて春から5000mの強化もしっかりしてきました」。前回最長区間の3区区間賞の今江勇人(27)も、ニューイヤー駅伝で向かい風の強い6区で区間賞だった嶋津雄大(25)も、今季5000mで13分30秒台までタイムを縮めている。

「短い8.2kmの区間で20秒、30秒負けるようなミスをしないことも重要です。ブレーキはないかもしれませんが、優勝するには凡走もダメだと思っています」。3区までにトップに立ち、短い区間の続く後半でもトップをキープする。その展開を実現するために、区間は未定だが太田も「区間賞を取ってチームの優勝に貢献する」走りをする。太田がチームのために走るのはもちろんだが、チームも太田の強化にプラスになる。

太田は4月から単独で練習をしているが、長い距離を走るトレーニングでは、1人で走ることで効果があると感しられた。一方「インターバル走などスピード系の練習は、1人では難しいと感じる部分」が多かった。東日本実業団駅伝に向けてはチームと合流して練習を行い、「集団でスピード練習を行う方が余裕を持ってこなせる」と感じている。学生駅伝よりもスピードのレベルが高い実業団駅伝が、マラソンで「オリンピックの金メダル」を最大目標としている太田にもプラスに働くはずだ。

(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)

※トップの写真は24年の箱根駅伝(左から佐藤圭汰選手、太田選手)