チームへの“篠原効果”も期待

塩尻選手

富士通は東日本実業団駅伝で、20~23年に4連勝したチームだが、今回は残念ながらベストメンバーで臨むことができない。東京五輪5000m代表だった松枝博輝(32)と坂東悠汰(28)、マラソンで2時間6分台を持つ浦野雄平(28)がエントリーから外れた。10000m日本記録保持者の塩尻和也(28)を中心に、スピードのある塩澤稀夕(26)、東京五輪マラソン代表だった中村匠吾(33)、入社3年目の小澤大輝(25)と伊豫田達弥(25)らでメンバーを組む。

高橋監督は大会10日前の時点で、「起用区間は迷っている」と話した。自己記録や個人種目の実績では塩尻と篠原がエース区間候補になるが、「その2人に頼りたくない気持ち」もある。他のメンバーの3区起用があるかもしれない。連勝していた間は、東日本大会でも勝負に行っていた。しかし今回はニューイヤー駅伝に向けて、試験的なメンバーを組む可能性がある。

「エース区間を走る選手にも期待していますし、後半区間の選手が単独走になった時に走れるのかも見てみたい。ウチは色んな大学から選手が入ってくるので、駅伝に向けてどんな調整練習をするか、この大会で確認したい」

高橋監督が確認したいことの1つに、篠原の走りがチームにどう波及効果を及ぼすか、が挙げられる。練習はGgoatで行っているため、篠原の走りを他のメンバーは直接見ていない。練習で競り合えば力を把握しやすいが、それもない。

「篠原に求められるのは駅伝の結果です。篠原の強さを他の選手が認識したとき、チームがどう変わるか」

富士通にとって今年の東日本実業団駅伝は、ニューイヤー駅伝に向けて篠原効果を期待する大会でもある。

(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)