■ 結婚・就職での差別恐れ「次世代への影響は調べてもらいたくない」


“ぶどう色の肌”で生まれてきた宮本さんの子供はいま結婚し、家庭を持っています。
でも、その家族に油症のことは話していません。

全国油症治療研究班によると『一度体内に入ると生涯抜けない』ことが分かっているダイオキシン類。

国は2021年から初の『次世代への健康影響調査』を進めていますが、宮本さんはこの調査に参加するつもりはありません。

油症認定患者 宮本春子さん(仮名):
「二世・三世を認定するかどうかありますね…。ちょうど私達にすれば“孫の世代”が、受験、結婚、就職と一番“大事な時期”に入ってる。次世代のことをあんまり私としては調べてもらいたくない、と言うのが本音ですね。

“自分を責める気持ち”が一番ある。自分が(油を)買ったばっかりにそういう被害が出てるんですからね。誰のせいでもない、自分のせいでしかないわけなんですよね」

■ 先生からも石を投げられ…壮絶ないじめ 差別は就職してからも

油症認定患者 山口美穂子さん(仮名):
「“ばい菌”みたいな扱い…」

山口 美穂子さん(仮名)は、小学生の時 汚染油を食べ、壮絶ないじめにあいました。

油症認定患者 山口美穂子さん(仮名):
「机を分けろ、みたいな感じになって。距離を置かれて。先生も一緒になって生徒も小石を投げつけて『出ていけ!』みたいな感じで。それが毎日繰り返された…辛い…」

“感染する”という『誤った認識』も広がっていた油症 ──
差別は、就職してからも続きました。





油症認定患者 山口美穂子さん(仮名):
「(弟が勤めていた)食品関係は 衛生的にカネミ患者はダメって追放されて。
(自分が勤めていた)病院の先生からも “家族もみんな油症だから雇うわけにはいかない”と。カネミとはそういうもんだと言われました。

「こんな感じ(膝下のただれたように割れた皮膚)なんですよ。これが子ども達にもある…」