株価上昇も生活は苦しく...
日本は、多くの食料品や燃料、資材などを海外からの輸入に頼っているので、円安によってあらゆるものの値段が高くなっています。

実際、円安が続く中での日本の物価上昇は、賃上げが追いつかないスピードで進んでいるため、物価の変動を考慮した実質賃金指数(厚労省・毎日勤労統計調査)で見ると、購買力は5年前と比べ2割近く減っていて、株価が上がったところで生活は苦しくなっている人が多いのが現状です。
そして皮肉なことに、海外から見ると円安になれば日本は割安になるので、外国人観光客が増えていきます。それによって、外国人に人気の国内の観光地などではホテル代が高騰し、外食の単価も外国人に合わせてつり上がっていきます。

一般の日本人には手の届きにくい1億円超えのマンションなども、外国人から見れば円安によって割安なので、投資目的で購入され、さらなる高騰を招くことにもつながります。
「責任ある積極財政」“国債頼み”なら物価高加速…?

こうした状況での物価高対策は、財源をめぐって難しい判断を迫られます。早川さんは、「『積極財政』として、政府が使うお金の財源を国債に頼ることになれば、国の借金が膨らんで円の信用が落ち、さらなる円安を招きます。それによってさらに物価高が加速するという悪循環に陥る可能性がある」といいます。

高市氏は自身が掲げる「責任ある積極財政」について、「税率は上げず、債務残高の伸び率を成⻑率の範囲内に抑えることで、市場の信認を得る」と説明していますが、市場の受け止め方次第では、円安を招き物価高を加速させかねないため、難しいバランス取りが求められます。














