自公連立解消の裏で... 石破総理 “最後の置き土産”

総理指名選挙に向けた一連の動き、全ては10月10日、26年間に及ぶ自公連立の解消から始まった。

しかしこの大きなニュースの裏でひっそりと行われていたのが、石破総理の事実上“総理として最後の会見”である「戦後80年所感」の発表だ。

これまで戦後50年、60年、70年の節目に、村山談話、小泉談話、安倍談話といった形でときの総理が「談話」を発表してきた。

一方で、安倍総理による戦後70年談話では、「戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません」として、いわゆる“謝罪外交”に終止符を打とうとした。

それでもなお、石破総理が新しい談話・見解の発表に意欲を示すと、党内の保守派などからは「70年談話を上書きするのか。蒸し返すのではないか」と反対意見が出たため、最終的に、「談話」ではなく、閣議を通さない「所感=メッセージ」という形で発表するに至った。

所感の主な内容は以下の通りだ。
(1)これまでの歴史見解を引き継ぐ(党内の反対の声に配慮)
(2)なぜ戦争は避けられなかったのか、国内の政治システムはなぜ歯止めたりえなかったのか
(3)今日への教訓:政治に対して「無責任なポピュリズムに屈しない」、メディアに対して「偏狭なナショナリズムを許さない」

政治部・光安記者によれば、所感は「石破総理らしい」内容だったという。

歴史上の人物の言葉を複数引用し、最後は田中角栄元総理の「あの戦争に行ったやつがこの国の中心にいる間はこの国は大丈夫だ。いなくなったときが怖いんだ。だから、若い人たちには勉強してもらいたいのだ」との言葉で締めくくられた。この田中角栄元総理のエピソードは、石破総理が何度も語ってきたものであり、戦争の記憶の風化を懸念する強い想いから語られたものだと思われる。