■わずか1日で作られた『白日』、そして“忘れられないライブ”

そんな野田にとって“忘れられないライブ”は、2013年に東日本大震災からの復興を願って宮城県内で行われたもの。

震災発生の4日後、いち早く義援金プロジェクトを立ち上げた彼ら。さらに2012年3月11日には公式YouTubeチャンネルで楽曲『白日』を発表したが、これは前日の3月10日に野田が思い立ち、メンバーやスタッフに声をかけてわずか1日で作られた楽曲だったという。

武田が「10日に洋次郎から『こういう曲を録りたい』と言われて。たまたま映像監督の方やエンジニアの方も幸運にも集まれるタイミングがあって、そこでパッと録って、映像も編集して流す、という形でした」と回想すると、野田は「ミュージシャンとして3月11日をどう迎えていいかわからなかったんです。曲を作って録音して発表するということが、唯一できることなんだろうなと思って」と話し、“自分には何ができるだろう”という自問から生まれた行動だったことを打ち明けた。

そんな流れの中で行われた2013年の宮城でのライブ。中盤、ステージに登場したのは石巻市で津波に飲まれたピアノ。修復され、ふたたび美しい音色を取り戻したそのピアノの前に座った野田は、こらえきれずステージで涙…。止まらない涙に、観衆からも「頑張れ!」の声が飛ぶ…。

そのライブの実際の映像が番組で放送されると、視聴者からも「ピアノの前に座って泣いている野田さんを見て涙が止まらない…」「ボロボロ泣けた。初めて聴いた曲なのに」「あの津波に流されたピアノがこんなに美しい音色を奏でるなんて…本当にうれしい。野田さんありがとう」といった感動や感謝の声があふれた。