下がるはずの血圧が“逆転上昇”していた

本来、夜は副交感神経が優位になり、血圧は日中よりも低下するのが正常です。しかし、睡眠時無呼吸症候群の人では、眠るたびに血圧が上昇するという”逆転現象”が起きることがあります。
広島ハートセンター循環器内科医中村真幸医師
「無呼吸で酸素が減少すると、脳が危険信号を出して体を覚醒させようとします。このとき交感神経が刺激され、心拍数や血圧が一気に上がるんです。それが一晩中繰り返されると、血管にかなりの負担がかかります」
元プロ野球選手天谷宗一郎さん
「寝ているだけなのに血圧が上がるなんて…想像もしませんでした」

こうした血圧の上昇と覚醒のくり返しによって、夜間の血圧が下がらない、あるいは逆に上昇してしまうのが「夜間高血圧」です。放置すれば、日中にも影響が及び、慢性的な高血圧へとつながります。しかも、睡眠時無呼吸がある人では、薬を3種類以上使っても血圧が下がりにくい治療抵抗性高血圧を合併するケースも少なくありません。*1
※1 日本循環器学会【2023年改訂版 循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン】
中村医師
「治療抵抗性高血圧を合併している睡眠時無呼吸症候群の患者さんの場合、無呼吸の治療を行うことで、血圧を下げる効果が大きいことが報告されています。つまり、”眠りを整えること”が、高血圧やその先の生活習慣病や心不全や脳梗塞などの合併症を予防することにつながるのです」














