女子駅伝日本一を決めるクイーンズ駅伝(11月23日・宮城県開催)の予選会であるプリンセス駅伝 in 宗像・福津が10月19日、福岡県宗像市を発着点とする6区間42.195kmのコースに31チームが参加して行われた。2時間15分53秒で優勝した三井住友海上から、16位の愛媛銀行までがクイーンズ駅伝出場権を獲得した。

エース区間の3区(10.7km)では伊澤菜々花(34、スターツ)が区間賞を獲得。チームの2位通過に大きく貢献した。また東京2025世界陸上マラソン7位入賞の小林香菜(24、大塚製薬)は5区(10.4km)で区間2位、チームを20位から14位に浮上させ、大塚製薬の10位通過の立役者となった。

伊澤は1年前の今大会が、現役復帰後初の駅伝で1区区間賞。ルーキーの小林も初の実業団駅伝で3区区間2位。1年前のプリンセス駅伝で見せた走りから、2人はどう進化したのだろう。

伊澤が思い切った走りができた理由は?

伊澤はどんな展開でタスキを受け取っても、「自分のところでトップに立つ」と決めていた。2区の幸田萌(25)から14位でタスキを受けたとき、トップを行く三井住友海上とは1分01秒差があったが、伊澤はタイム差を知らずに走り始めた。

「3区(10.7km)は結構直線が長くて中継車が見えていたので、ひたすら先頭を目で追って走っていました。トップまでは厳しい距離かな、と感じたときもありましたが、徐々に近づいているのがわかってきて。動きは自分の方が良いかなと感じたので、行けるところまで行こう、と思って走りました」

トップに立つことだけを考えて、ペース設定もしていなかったが、「前半を突っ込みすぎると後半でバテるコースだとわかっていたので、前半はできるだけリラックスして、その中でも速いペースを刻むこと」を意識した。結果的に「ずっと3分08秒くらい」で押し切った。5kmは15分28秒で通過し、10人を抜いて4位に上がっていた。8.7kmで三井住友海上の兼友良夏(24)に追いつくと、残り250m付近でスパートし4秒差を付けて4区に中継した。

昨年は1区で区間賞だったが最初から全開で行くことはできず、残り1.5km付近から前に出た。2年間のブランクから復帰後、プリンセス駅伝が3レース目で、そこまで自信を持てていたわけではなかった。自信のなさが結果に出てしまったのがクイーンズ駅伝で、1区で中途半端な飛び出し方をして、9秒差の区間4位に終わった。それに対して今年の3区は思い切ったレース展開ができた。

「復帰して3か月は故障をしていましたが、その後1年半近く痛いところもなく練習ができて、(週に2~3回行う負荷の大きい)ポイント練習は外すことがありません。練習を継続していることがすごく大きな自信になっているところが、昨年との違いです。今日のレースでもハイペースで押して行けることがわかったので、クイーンズ駅伝でも自信を持って、ネガティブにならずに走って行きたいと思っています」

クイーンズ駅伝の3区、または1区でも成長した姿を見せる。