登場人物のバックボーンを描くことに注力

――そんな今の若者に迫る闇の部分を描くにあたって、一番気を遣ったというか、力を入れた点はどこですか?

永田 “若者の犯罪“って2つのパターンがあると思うんです。1つは、経済的に恵まれていても罪を犯してしまう人、つまり“興味本位”とかで闇バイトに手を出してしまう人です。もう1つは“貧困の連鎖”、親が貧困のために自分も貧困にならざるをえず犯罪に走ってしまう人です。

今回は、その貧困連鎖に陥っている若者のストーリーをメインにしたのですが、「なぜ貧困に陥ってしまったのか」という彼らのバックボーン、それがはっきりわかるように、そのキャラクター作りに気を遣いました。

例えば、「愛がわかるか、わからないか」。マモル(林裕太)は親に捨てられ全く“愛”というものがわからない。でも北村匠海が演じたタクヤには、ちゃんと家族がいました。母親が離婚後病死し、病気持ちの弟と2人になるんですが、しばらくはおばあちゃんが面倒を見てくれた。ちゃんと愛されて育ったのだけど、おばあちゃんも亡くなり、病気の弟と2人、その病院代を稼ぐのに貧困にならざるをえなかった。不遇なのです。

愛を知っているか知らないかによって、その後の生き方も違うし、人に対する愛情の持ち方や信頼の仕方も変わってきます。家庭の味を知っているかどうかもそこに起因します。そういうことをどう設定するか熟考し、登場人物のバックボーンをしっかり作ることに気を遣っていましたね。