ショートステイは緊急避難
藤本:相談は事前に電話で予約が必要なのですが、土日はひどい時には2か月待ちになっています。相談したいと思ってもすぐ相談できない状況が続いているので、それを解消するために、地域のこども食堂や子育てサロンに相談員が出向いて、自然にお母さんと出会うような形で相談をお受けする取り組みをしています。建物に来ていただくだけではなく、地域に出向いていって子育ての悩み事になるべく早めに触れられる仕組みを作ろう、と。
神戸:来てもらうだけじゃなくて、相談員の皆さんが逆に町中にすぐ出ていくための拠点でもあるわけなんですね。
神戸:「子どもの村」を取材してすごく印象的だったのは、子どもを一時預けたいとショートステイを利用するお母さんたちの多くは、理由を「ちょっと体調が悪い」とか、いろいろなことを挙げるけれど、本当は子育てに悩んでいて、表面的な理由とは違うということ。本心を言えなくて、別の形で相談してくる。でも、一時的でも預けられたらSOSを受け入れてくれたことになり、立ち直るケースが多いという話を聞いて、「なるほどな」と思ったのです。ニーズは本当にありますね。
藤本:かつては、ご近所の方との付き合いの中で預け合ったりして悩みが解消されたこともあったと思うんです。でも今、なかなかそういうことがしづらい。地域との関係性をもう1回作ろうと思った時、例えば公的な仕組みを使ってしっかり安定したものに制度を作り上げていって、その後に任意で預け合ったり助け合ったりという雰囲気が生まれてきたら、よりよいことなのかな、と。
神戸:人と人の付き合いって都会では少ないのはやはりあるかな。
田畑竜介アナウンサー(以下、田畑):旧唐津街道沿いには、昔の旧家も残っていて、雰囲気がとてもいい場所ですよね。
藤本:歴史のある街の中に造ることの意味もあるな、という風に思います。