「完璧な理想的な治療法」実用化は近い?

―――制御性T細胞の実用化について教えてください。

 主に期待できるのは、1型糖尿病・関節リウマチなどの自己免疫疾患です。これまで、自己免疫疾患をちゃんと治そうという薬はなかったんですよ。解熱剤のように、対処療法的な免疫抑制をするしかなかった。

 制御性T細胞で治す=根本から治すということです。自分の体を攻撃する悪い細胞を直接抑え込む。そして、それ以外の免疫を抑えない。副作用なく免疫を抑制できる。完璧な理想的な治療法になります。

 これまでの普通の発見とは全然違うんですよ。今後は、免疫療法の考え方が圧倒的に変わる。ターニングポイントになります。

―――実用化は近いとみて良いでしょうか?

 近い将来、実用化されると思います。日本とアメリカでそれぞれ、臨床試験の直前まで行っておられましたので。原理的には花粉症にも効きますし、食物アレルギーにも効きます。

 12月10日、坂口教授はストックホルムで行われる授賞式に出席される予定です。