気候変動にも予算削減の動き 世界の研究に大きな打撃
気候変動をめぐってもトランプ氏は「でっち上げ」と否定し、予算削減のメスを入れている。

トランプ大統領
「気候変動問題は、世界で行われた過去最大の詐欺だ」
トランプ氏は「地球温暖化はアメリカの製造業の競争力をなくすため、中国が作り上げたもの」などと持論を展開してきた。
大幅な人員や予算削減の影響は、日本にも及んでいる。

国立環境研究所 地球システム領域 谷本浩志 領域長
「世界中の場所から空気をサンプリングして持ち帰り、分析している部屋です」
国立環境研究所では、世界中のパートナーの協力を得て、各地の大気を集め、温室効果ガスを観測することで地球温暖化の現状を分析をしている。
そのパートナーの一つがアメリカの研究機関NOAA=米国海洋大気庁だ。ハリケーン予報など気象に関する総合的な研究を担っていて、温室効果ガスの観測でも「世界最大の観測網」を持つ。
国立環境研究所は、NOAAと新たにアラスカでの共同観測をする予定だったが、担当者から突如、退職を知らせるメールが届いた。
谷本浩志 領域長
「理由はちょっと確たるところは書いてないんですが、いろんな諸事情によりというようなことでしょうかね」
メールが来たのは2月。約880人のNOAAの職員が解雇されたと報じられていた。9月になって後任者から連絡がきたが、共同観測の先行きは不透明な状態だという。
谷本浩志 領域長
「シベリアやアラスカの北方の森林が二酸化炭素をどう吸収・排出しているか。面積が広いですから、地球規模で見ても非常に大きな役割を果たしているので本当に貴重」
二酸化炭素濃度を調べるNASA=アメリカ航空宇宙局の観測衛星も、プロジェクト停止の危機にある。
アメリカが気候変動の研究から離脱することは、世界の研究に大きな打撃を与えるという。

谷本浩志 領域長
「私たちが取るデータと違う人が取るデータを比べる。相補的に利用することで、より知見を広く深くし、より正しい対策に活かすことが出来る。観測を国際共同でやるというのは非常に重要」