■反撃能力の保有へ
政府は倍増された巨額の防衛費を何に費やすのでしょうか。その使い道として、議論となっているのが「反撃能力」の保有です。
12月2日には、自民・公明両党が反撃能力を保有することで合意しました。
この「反撃能力」とは、いわゆる「敵基地攻撃能力」のことで、弾道ミサイルの発射基地など、敵国の基地などを攻撃する能力を指し、巡航ミサイルなどの保有が想定されます。しかし、ここで問題となるのが…
■専守防衛
福島議員
「専守防衛に反するじゃないですか」
岸田総理
「専守防衛の姿勢もしっかり守ってまいります」
「専守防衛」とは、他国へ攻撃を仕掛けることなく、相手から武力攻撃を受けた時に初めて、防衛力を行使することをいいます。反撃能力の保有は、この「専守防衛」の大原則から逸脱しかねない懸念があります。
また、アメリカ軍が「矛」、日本が「盾」という、これまでの日米の役割が変わる可能性があるのです。そうした中、今…
■安全保障の環境が変化
ロシアの侵攻開始からすでに9か月、いまだ収束の目処が立たないウクライナ問題。さらに…
中国が台湾への圧力を強め、北朝鮮がミサイル発射を繰り返すなど安全保障を巡る環境が変化する中、日本は防衛力強化を掲げ、反撃能力の保有を検討しています。これに対し、安全保障の専門家は…
小泉悠・東大先端科学技術研究センター専任講師
「(反撃能力を)持つことそのものは私は反対ではない。ただ中国・ロシアになるとミサイルの数も多いですし、日本からはるかに離れた奥深くの基地に配備されてますので、敵のミサイルが発射する前に叩くというのは現実的に無理だと」
その上で、小泉さんは、まだまだ議論が足りないと言います。
小泉悠・東大先端科学技術研究センター専任講師
「あえて(反撃能力を)持たないということを日本としては選択してきたわけですから、その方針を変えると言うことについてはきちんと説明があるべき。密室で勝手に決めてしまうのは良くないんじゃないかと」
防衛費増額に加え、反撃能力の保有。これまでの日本の安全保障政策が今、大きく転換されようとしています。
(「サンデーモーニング」2022年12月4日放送より)














