先週の都立新宿に続く訪問となった富士高校は今年創立100周年を迎え、県内トップクラスの進学率を誇る進学校。野球部は過去に79年の夏の甲子園、87年の春のセンバツと2度甲子園に出場している。直近の秋季大会では地区大会2回戦で敗退。
◆突然のイチロー氏訪問「全然想像してなかったの?」
練習前のミーティング中に、「はい、こんにちは」とグラウンドに現れたイチロー氏は、「えっ」と驚く生徒たちを前に「全然想像してなかったの?初めましてイチローです」と挨拶。「先週僕が新宿高校行ったの皆知ってる?今週は富士高校に。これはみんなからリクエストされた訳でもなく、監督からリクエストされた訳でもなくて、皆が地域の子供たちに野球の普及活動として熱心に取り組んでいて、これからも続けていくと。さらに勉強やりながらも野球頑張っていると聞いたんで、ちょっと一緒に練習をやってみようかと。まあそんな感じ」と訪問の経緯を伝えた。「通常プロ野球選手になりたいっていう高校生が多いんだけれど、特に名門校に。ただみんなの場合は社会人になって、どんな世界に進むかわからないけれども、リーダーとして地域に還元する、戻ってくるという、そんな目標があるというふうに聞いてきました。何ができるか分からないけど一緒にやってみましょう」と生徒たちと練習を始めた。
◆“イチ流”のバッティング指導
「チャンスで打てる秘訣は何ですか?」と聞かれたイチロー氏は「チャンスで打てる秘訣?頑張れ(笑)」と生徒を少し困らせながらも「僕が高校生のときはね結構上手くて(笑)、当時は“あっまたここで打点稼げる”と思っていたし、ただプロではそうはいかないからね。これはどこの高校に行っても聞かれるんだけど、そんな魔法みたいなことはないし、自分で結果出して自信をつかむ」と早速の“イチ流”アドバイス。「打席に入るまでの自分の動き、自分のリズムを作って打席に入れるかはすごく重要で、自分の形、自分の呼吸とか間合いはすごく大事で有効。打席に入ってからが勝負ではなく、そこに入るまでに自分のリズムで入っていくことは重要なポイント。これ、必ずみんなに伝えます。がんばれ!」と肩をたたいた。
さらに左打者の生徒には逆方向に打つコツや、上半身の使い方など実際に動きを見せてレクチャー。「上半身は回すというよりも勝手に回るというイメージ。手は使いたくないのね。こういうイメージ、これ(左肩指して)出さない。身体を振らない。プロ野球選手でも実は多いんだけど上半身は振らない」と繰り返し打撃のイメージを伝えた。