怖がる保護犬…苦戦する受刑者 初の“泊まり訓練”での変化

それから1か月後、受刑者が準備をしていたのは、パクスのための餌や水。

この日、里親に引き取られた後の生活を想定した“泊まり訓練”が行われました。

ピースワンコ・ジャパン 仁尾愛美 チーフトレーナー
「この1泊2日が受刑者とパクスだけの生活。パクスもこういった環境が初めて。どういった感じになるか、私たちもちょっと想像がつかない」

津村刑務官
「パクスが体調不良になったり、そういった事態がなければいいな」

「保護犬」と受刑者が同じ部屋で寝泊まりするのは、尾道刑務支所でも初めての取り組みです。

指導役のトレーナーや刑務官が不安を口にするなか、受刑者は…

受刑者
「人を馬鹿にして笑う以外、何もできないような人間でした。どうせ自分は大したことできんし、『別にいいや』みたいな。なんかあったらすぐに逃げることを考えて、ものすごく弱かったです。(パクスと)1日一緒におって、少しは慣れてくれるといいなと思いながら」

ここまで、うまくコミュニケーションがとれていないパクスと受刑者。期待と不安が入り混じる中、就寝を迎えました。

受刑者
「一番びっくりしたんですけれど、朝起きたときに、様子見がてらケージに入って撫でていたら、手を舐めてくれまして。

普段こんな感じなんだろうなっていう面が見られたので、それが嬉しかったですね。ようやく何か怯えている顔以外が見られた」

この日は、屋外で散歩訓練も行われました。少しぎこちないですが、パクスが受刑者の隣を歩いています。

受刑者
「人と一緒に歩くことがないんだなっていうのは思うんですけど、こうやって回数こなして練習していくしかないんだろうなと思う。最終的にはちゃんとお散歩が本当にできればなと思います」