被害者支援は「暗い」「重たい」?
「私たちのイベントは、本当に楽しいんですよ」
『NPO法人 Coffee aid 2021』について、深迫さんは笑顔で説明します。

「まず、被害者支援というものを知らない人がとても多い。そして『暗い・重たいもの』と思われます」
「お店でも聞くと、ほとんどの方が『だって遺族が泣いてるんでしょ?ああいう重たいものは…』と言われる。私もそう思っていました。なのでコーヒーが飲めるイベントにして、明るく楽しい雰囲気の中で、被害者支援を知っていただけるようにしました」
深迫さん達が東京や熊本で開いたチャリティーイベントは、バリスタや学生、一般の人たちがコーヒーを飲みながら交流します。

他愛のない会話が弾む会場の一角には、忍さんを含む交通事故の被害者たちのパネルが設置されていて、参加者はコーヒーを片手に会話を楽しみつつ、交通安全への思いをめぐらせるのです。

活動の輪は、どんどん広がっています。
大学生による緩和ケア病棟へのコーヒーサービス。刑務所などと連携した、受刑者が作ったコーヒーカップの配布イベント。
深迫さん達の活動に共感した高校生たちが、店で焙煎方法を習い、オリジナルのドリップコーヒーを作って販売することもあります。

「若い世代が犯罪に遭わないように、犯罪を起こさないように」
深迫さんの眼差しは、次世代を担う生徒達に注がれています。
講演会の最後に一つ、問いかけました。
「きょうだいがいる人は、その人のことを頭に浮かべてもらっていいかな?」