東日本大震災当時13歳だった野田村出身のバンドマンがいます。
被災した経験を歌詞にのせて震災の記憶を伝えるともに、今度はあの時に勇気をもらった音楽で希望の「光」を届ける姿を取材しました。

「♪突然すべて失ったこと あなたはありますか?
13歳の僕は受け入れるしかなかったし…」
悲痛な思いをストレートな歌詞にしたこの曲は、2017年に結成した石川県金沢市を拠点に活動する4人組ロックバンド、プッシュプルポットの「13歳の夜」です。2019年に発売されたファーストミニアルバムに収録されています。

(山口大貴さん)
「ここから見てました、中学生の時」
作詞作曲を手がけたのはバンドのギターボーカル、山口大貴さん27歳です。

野田村出身で2011年3月11日の東日本大震災当時は13歳。
通っていた野田中学校があるこの場所から、大津波にのみ込まれるふるさとを目の当たりにしました。

(山口大貴さん)
「友達と一緒に抜け出す感じでここまで来て、様子を見たら全部海になっていて、『あれ、ここから見た景色、俺の家ってこんな感じだったっけ』と現実を受け止めきれない気持ちに(なった)。夢を見ている気持ち。まさかこんな青く街がなると思っていなかった」
「♪14時46分 いつもと違う鐘がなった
無責任の“大丈夫”がやけに頭を駆け巡った…」

歌詞には当時13歳だった山口さんが感じた不安、衝動、暗闇の中でも見出したかすかな心の支えなどさまざまな感情が詰まっています。

この曲の動画が投稿されたサイトには「歌詞が深く突き刺さった」「3月11日になったら必ず聴きに戻ってくる」など多くのコメントが寄せられ、今も多くの人の心にその記憶を響かせています。