倒木事故が増えるワケ

 こうした倒木事故は、皆さんが住む街でも起きる可能性があります。今回話を聞いた大島渡氏・竹内智子氏は、「倒木や落枝は増えていると感じるし、今後もさらに増えるはず」と警鐘を鳴らしています。

 倒木事故が増える理由は主に3つあるといいます。

 1つ目は「数十年前に植えた木が多い」こと。高度経済成長期に道路や公園の整備が進み、そこから50~60年ほど経過しています。そうすると時間の経過とともに、次のような順序で内部の空洞化が進んでいきます。

 【内部の空洞化】
 ①幹や枝の傷から菌や虫が侵入
 ②中心部の死んだ組織を腐朽させて空洞化する→年月が経つほどにリスクは上がっていく

 葉に勢いがあっても中が腐食していることもあり、実は見た目だけでも判断がしづらいとのこと。そして実は、菌や虫の侵入のリスクとなるのは「剪定」だということです。若く元気な木であればかさぶたのように自ら切り口の表面を覆いますが、老木ではそれも遅くなり、よりリスクが高まるということです。

 2つ目の理由は「近年の激しい気候変動」。猛暑や突然の雨、台風の時期の変化などで、木の弱まりがより早まっているそう。

 そして3つ目の理由は「管理が追いついていない」こと。4つの“不足”が挙げられます。

 ▼人員・予算が不足
 ▼情報不足 木の種類・植えてからの年数・検査時期などに関する「台帳」がこれまでなかった
 ▼精度が不足 内部診断なし
 ▼基準不足 検査や対応方法のマニュアルなし(国土交通省が9月、ガイドライン作成の委員会を立ち上げ)
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 このように多くの課題がある中、自分の身を守るために知っておきたい、木の“危険サイン”を以下にまとめました。

 枝…枯れている・長い
 幹…大きな傷・傾きがある
 根…ぐらつく・空洞がある・キノコが生えている