お値段から世の中の動きを読み解いていくコーナー「きょうのお値段」。ミシュランガイドに掲載されたお店を1000円台で楽しむことができるんです。

■手頃な値段でミシュランの味を「ビブグルマン」とは?

出水麻衣キャスター:
25日に発表された「ミシュランガイド東京2026」。

旅をしてでも訪れる価値があるとされる「三つ星」には12店舗、遠回りしてでも訪れる価値のあるとされる「二つ星」には26店舗、近くに訪れたら行く価値のある「一つ星」には122店舗が掲載されました。

今回新たに三つ星になったのは、東京・港区の日本料理店「明寂」です。
料理はおまかせのみで、価格は4万5000円〜5万円程度です。水と塩で味を調え、食材の持ち味を表現することを大切にしているといいます。

一方で、もう少し手軽なお値段でミシュランの味を楽しみたいという方に向けて、「ビブグルマン」という項目も掲載されています。

「ビブグルマン」には“シンプルな調理法”で良心的な価格で満足できるお店が選ばれ、今回は114店舗掲載されています。ラーメンや焼き鳥、とんかつなどのお店も選ばれるということです。

この「ビブグルマン」ですが、時代とともに基準となる価格帯にも変化が起こっています。

日本の場合、一人あたりの平均価格は、▼2019年版では5000円以下が基準でしたが、その後人件費や物価の高騰などにより、▼2020年版〜2022年版は6000円以下に基準が変わりました。そして、▼2023年版以降は値段設定がなくなっています。これは日本だけではなく、世界的に値段の設定がなくなっているということです。

今回「ビブグルマン」にはどのようなお店が選ばれたのでしょうか。

例えば、▼東京・墨田区の「蕎麦割烹 ながの」。夜は平均単価8000円ですが、昼は「せいろそば」を990円で楽しむことができます。

そして、2025年7月にオープンした▼東京・渋谷区の東南アジア料理店「Night Market」。
夜の平均単価は約1万2000円ですが、お昼は「クラシック節のフォー」を1300円で楽しむことができます。(※9月末まで)

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
店側もお昼の時間帯は少し価格を安くして、夜に来てもらおうという作戦なので、お昼に試しで行ってみるというのは手ですよね。

井上貴博キャスター: 
やはり間口を広げないと、お店としてもお客さんが広がらないというのはあるのでしょうね。

■出水キャスターが直撃!最新ビブグルマンに選ばれた店

今回「ミシュランガイド東京2026」で、ビブグルマンに選ばれた東京・新宿の「食堂わた」に行ってきました。店主の櫻井航さんは予約困難な日本料理店の「赤坂おぎ乃」や「西麻布野口」で修業された方だそうです。

「食堂わた」の夜の平均単価は1万円〜ということですが、夜営業と同じ食材使ったランチは、なんと1000円台で楽しむこともできます。ランチで1番人気の「おばんざい定食(1800円)」をいただいてきました。

出水キャスター:
「ジューシー。鶏にもこんなに肉汁があったの、というような旨味が衣の中からぐーっと出てきます」

他にも、旬のきのこやカツオを使ったおばんざいなど、小鉢が10種類もあって季節の花まで添えられています。群馬県産のコメ「雪ほたか」は、なんと食べ放題です。

店主の櫻井さんにビブグルマンに選ばれた喜びをうかがうと…

食堂わた 櫻井航さん(29)
「狙っているわけではなかったが、世間から評価してもらえてすごく誇らしく思います。普段日本料理が高くて手が出せないような方達に、気軽に来てほしいなと思う」

■「食堂わた」に聞いたミシュラン掲載効果 客の増加だけでなく…

出水キャスター:
香の物を含め小鉢が10種類もあり、お米が進む非常に満足度の高いランチでした。

井上キャスター: 
ランチでも予約が必要なのでしょうか。

出水キャスター:
予約をしなくても大丈夫ですが、おすすめ定食に関してはすぐ売り切れてしまうということなので、早めに行った方が良さそうです。

出水キャスター:
私が取材する中で注目したのは「掲載の効果」です。

「食堂わた」は今回初めて「ビブグルマン」に選ばれましたが、ミシュランのおすすめのお店には2025年既に掲載されています。その効果で、ヨーロッパ中心に海外からのお客さんが増えたほか、「働きたい」という問い合わせが増え、実際に料理人の採用にも繋がるなど、多方面からの効果があるようです。

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<プロフィール>
星浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島県出身
政治記者歴30年