■「頑張ってもうまくいかないことがあるけど、道は一つじゃない」

アシスタント時代の山口歴


当時、23歳。右も左もわからないままアメリカへ渡り、現代美術家の松山智一氏のアシスタントとして多くの学びを得た。このアシスタント時代に、「OUT OF BOUNDS(アウトオブバウンズ)」のヒントが生まれた。

「ボスが1か月日本に帰るといって、使っていいよってなって、『お前の性格上、養生ひいておけ』と言われて、全部に養生ひいたんです。そこで絵の具をキャンバスに投げたりしていたら、アクリルがペリっと剝がれれて、これをパズルにしたら面白いなと思い、生まれました」

はじめて個展を開いたのはアメリカに渡って4年後。その時27歳になっていた。

「初日で描いた絵が売れたんですよ。その日に雲が晴れたんですよね。たぶん浪人していた日から27歳まで、ずっとフィルターがかかっていたんですよ。ずっと灰色というか、雲がかかっていたんだなと思います。絶望みたいなのを知ったので、頑張ってもうまくいかないことがあるんだなと。でも今わかるのは、頑張ってもうまくいかないこともあるけど、道は一つじゃないということがわかった」

山口の作品は、絵の具の筆跡を重ね、張り合わせる「カット&ペースト」という独自の手法を用いて作られている。浪人時代にデザイナーの父のアトリエで学んだ手法だった。

困難な道の中にもヒントがある。こうして生まれた「OUT OF BOUNDS(アウトオブバンズ)」は、独特の造形表現と、類まれな色彩感覚が評価され、NY初の「rag & bone」や日本を代表する「ISSEY MIYAKE MEN」など、国の内外の名だたるファッションブランドなどとのコラボレーションを果たした。今やアート界だけでなく、ファッション、スポーツなど様々な業界から注目されるようになった山口歴。

「自分がかっこいいと思うものをどれだけ追求できるか、そこにフォーカスしている。まだまだ10分の1もできていないので、ようやくはじまったかなみたいな感じなので、まだまだやっていきたい。常に自分の作品に対してワクワクするようなものを作りたいと思う」

(2017年10月放送 JNNドキュメンタリー「ザ・フォーカス」より)