大阪・関西万博のシンボル「大屋根リング」の保存をめぐり、9月16日、リング北東の約200メートル部分を大阪市が公園として整備し、管理する案で関係者が合意しました。その費用については数十億円規模が見込まれています。

 大阪・関西万博のシンボル「大屋根リング」の保存については、今年5月から大阪府や市、博覧会協会や経済界が検討を続けてきました。

 これまでは、「人が上がれる形」を前提にして、北東部の約200メートルを残し、管理費用を負担できる事業者を公募する案を軸に検討してきましたが、以下の2つの理由で「公募は難しい」との判断になりました。

●リング保存に必要な部材の状態検査の実施が閉幕後になってしまう「時間的な理由」

●リングの残置と10年間の維持管理に約55~90億円事業者に多額の負担が見込まれる「金銭的な理由」

 こうしたことから16日の4回目の検討会では、リングの北東部分とその周辺を大阪市が、公園や緑地として維持管理していく案で合意しました。

 数十億円もの費用は、管理主体となる大阪市が支出することになりますが、横山英幸市長はその財源について、国からの補助金や企業からの寄付金も活用すると説明しました。

 さらにもし、万博運営費に余剰金が出た場合にはその活用も想定されているということです。

 こうした想定が出たことについて翌17日、関西経済連合会の松本正義会長は慎重な姿勢を示しました。

 「万博の誘致の時から動いてきた。金集め・700万枚のチケット、経済界は先陣を切って万博を引っ張ってきた自負がある」「(大屋根の維持費などに)関経連が旗を振って、はい何百億という話にはならない。みんな疲れているから」

松本会長はこう述べ、希望する企業が個別に対応するといった考えを示しました。

協会から大阪市へのリングの引き渡しは、遅くとも2028年2月を期限としています。