努力を認める社会 寛容な共生社会に
(山本典良園長)
「私は、このハンセン病に関わって、なぜハンセン病患者がこういう人権侵害を受けたかという、いわゆるその政治が悪い、光田健輔が悪いではなくて、日本社会だったからこそこうなってしまった。クリスチャンの社会では、こうならなかった。
では、何が違うかというと、日本人の考え方を変えないと本当に障害者や外国人に優しくない社会、寛容な共生社会が作れないのじゃないかなと思うのです。
大谷翔平選手は、才能だけであの位置にいるとは、皆さん、決して思っていないですね。才能があって努力をするからあの到達点にいる。ですから、我々はすごいと思うのです。才能だけで生きている人って評価できます?していいのですか?
借り物がたまたま評価されて、才能がなければどうするのです?その、その人は生きている価値がないのですか?違いますよね。
才能がなくても、その人が頑張っている姿というのは、やはりその姿、その努力を認めるような社会じゃないと、住み良い社会にならないのかなと思います。
私が12年間、このハンセン病療養所に携わって、(ハンセン病患者に対する人権侵害は)誰が悪くてこうなったのかなと思った時に行き着く答えがこれだった。誰も悪くないのですよ。でも日本の社会がそうさせた。
私も60歳を超えて、日本の社会がこれからどういう社会になるのか、住みよい社会になって欲しいなと思っていますし、日本人に生まれてきて良かったと私は思っていますから、今後もずっと100年後、200年後、300年後に日本に生まれる人たちも、日本に生まれてきて良かったと思えるような社会を作っていかないと、今のままではちょっと変な方向に行くのかなとも思ったりもします」
「傷が増えるとどんどん手足の指がなくなる」長島愛生園の山本典良園長が語る「ハンセン病はなぜ忌み嫌われたのか」(第1回/全3回)から読む