「外国企業の米国投資」に日本が融資

そして、細川さんが非常に大事なポイントと話すのが「外国企業のアメリカ投資」も、8兆円の対米投資の対象にするという点だ。
外国企業のアメリカ投資に「日本が資金を出す」ということだが…

『明星大学』教授 細川昌彦さん:
「2023年にJBIC法が改正され、【日本の経済安全保障のためには、外国企業にも金を出す】としている。ただし無条件ではなく、日本の経済安保にプラスになるかどうか。例えば台湾のTSMCがアメリカに工場を作る時に、日本の装置、日本の企業から材料を買う。しかも作られた半導体は日本企業が買う。サプライチェーンの中に組み込んでもらうことで日本にもプラスになると」

――熊本にTSMCが工場を作るから、日本の国際協力銀行が金を出すというのはわかるが、アメリカに作るときに日本が金を出さなきゃいけないものなのか

細川さん:

「出さなきゃいけないというよりも、“日本にとってプラスだから出す”。例えばヨーロッパの製薬メーカーがアメリカに進出する時に、材料などを日本企業が供給するという形でアメリカも含めたサプライチェーンに関与する。そのことで、“日本が不可欠な存在になっている”こと自身が、日本の強みになる」

覚書では「約80兆円の投資対象」として
▼半導体▼医薬品▼金属▼重要鉱物▼造船▼エネルギー(パイプライン含む)▼人工知能(AI)▼量子コンピューティングなどがあがっている。

新政権に求められる通商戦略

では、石破首相退陣後の新政権には、どのような通商戦略が求められるのだろうか。

細川さんは「対米投資での“運用”がきちんとできるかどうか」の他に、もう1つあると話す。

『明星大学』教授 細川昌彦さん:
「やはり米国市場への依存度を下げていかなければいけない。それから中国の自己完結しようという動きがある。そういう中で、アメリカ・中国に依存しない、“戦略的自律性”を掲げる国々でどう連携していくか。ヨーロッパ、韓国、オーストラリア、カナダなどとの連携の取り方、これがものすごく大事になってくると思う」

(BS-TBS『Bizスクエア』 2025年9月13日放送より)