日本も参加「協議委員会」の役割

赤沢大臣が「不平等条約」ではないという対米投資だが、その仕組みを見てみる。

▼米「投資委員会」が案件検討⇒▼日米の「協議委員会」で協議⇒▼米「投資委員会」の推薦の中からトランプ大統領が投資案件を決定

トランプ大統領が案件を決めたら
▼プロジェクトを管理する「SPV」(特定目的事業体)が設立され
▼その「SPV」に対し、日本の政府系金融機関である「JBIC」(国際協力銀行)や「NEXI」(日本貿易保険)が、出資・融資、民間金融機関の融資保証を行う


つまりは、日本企業の対米投資の促進ではなく、アメリカに産業復興させるための「日本の公的金融支援」のようなものだ。

その上で、日米の通商交渉に詳しい細川昌彦さんは、日本も加わる「協議委員会」の役割に注目する。

『明星大学』教授 細川昌彦さん:
「日本が協議委員会で何を提起するのかというと、JBIC(国際協力銀行)やNEXI(日本貿易保険)が、JBIC法などの“法律に基づいて”やる。法律には投資案件を審査する要件、さらには日本企業が関与することや、日本の経済安全保障にプラスになるかどうかをきちんと見なければいけないと書いてある。そういうことを踏まえて審査した上で、法的に問題なければ良いけども、駄目だったら駄目と協議委員会は投資委員会に言うと。こういう仕掛けになっている」

――最悪の場合、出資や融資が焦げ付いた場合は日本側がダメージを被る。財政投融資が傷ついて、日本の公的負担になる

細川さん:
「なので国会答弁でも繰り返し“法律に基づいて”やると言っている。それは当然のことだが、トランプ政権の圧力で“審査が甘くならないかどうか”、そこが問題。枠組みの問題というよりも“運用の問題”で、審査が甘くなると焦げつくリスクはないわけではない。だからJBICがきちんと法律に基づいて審査しているかどうかを“日本の国会がしっかり監視しないといけない”

アラスカLNG「日本に資金を要請」

トランプ氏が選択する事業の本命として、急浮上しているのが「アラスカのLNG開発」だ。

米・ラトニック商務長官は「“1000億ドル(約15兆円)規模”のプロジェクトだ。大統領が承認する。アメリカで建設作業員を手配して“日本に資金を出すよう要請”する」と発言(11日CNBC)。

そして日本の発電大手『JERA』は10日、米LNG開発企業と「関心表明」の意向書を締結した。

――日本では「割が合うのか?」と慎重な見方が多かったが、東京電力と中部電力の合弁企業の「JERA」が前向きな姿勢に。徐々に外堀が埋まっているような形なのか

『明星大学』教授 細川昌彦さん:
「そうとも限らないと思う。日本だけじゃなくて韓国、台湾、そういうところが関心表明をするということが相次いでいる。ただし、最終的には割高になっては駄目なので、価格次第でどうなるかわからないという状態。価格が高くなるのは当然だが、どこまでなら許容できるかという問題」

――しかし、ラトニック氏が「1000億ドル出せ」と

細川さん:

「ラトニック氏はトランプ氏と同じような感覚の人だから、真に受ける必要は全くない。それに、日本だけじゃなくて韓国にも同じように資金を出すよう要請してくるだろう。さらには、『日本だけじゃなくてアメリカの石油会社も資金を出す』ことを前提にして物事を進めていく、こういう条件闘争がこれから始まっていくと見た方がいい」

これも、“運用”の問題で、「アメリカも金を出す」という仕組みを作って行けるかが大事だという。