参院選の大敗から、きょう8日で50日。

政治の針が、再び動き出しました。

 石破茂 総理
「選挙結果に対する責任は、総裁たる私にあると。米国関税措置に関する交渉にひとつの区切りがついた今こそが、そのしかるべきタイミングである。このように考え、後進に道を譲る決断をいたしました」

辞任会見が日曜日に行われたのは、これが初めて。

異例の事態だったことを伺わせます。

石破茂総理
「臨時総裁選要求の意思確認に進んでは、党内に決定的な分断を生みかねないと考えたからであり、それは決して私の本意するところではございません」

8日予定されていた「総裁選前倒しの意思確認」を避けるための判断だったことを明かしました。

 60代・札幌在住
「辞めると言ってくれて安心しました。もう少し早く辞めてくれればよかったですけど」

70代・札幌在住
「もう少しがんばって欲しかった。立場上、気の毒だなと」

70代・札幌在住
「来るべきものが来たなと。じゃあ誰がいいのかと言われたら、思い当たるところもないし、大変な時代だなと」

堀内大輝アナウンサー
「石破総理は明確な国家観を、あまり示せていなかったと見えたか?」

 自民党 高橋はるみ議員
「(石破総理は)『楽しい日本』とおっしゃいました。国家ビジョンをわかりました?今の環境、これだけ国際的にわけ分からないことが起こっていて、国内的にもインフレであるとか、いろいろなことがある中で、ちょっとTPOが…『楽しい日本』かよというのは、私はよくわからなかった」

 自民党道連 武部新会長
「国民の皆さんが期待できる自民党にするために、フレッシュさや政策を実行できる能力があるリーダーを(次期総裁選で)選ばないといけない」

 自民党 鈴木貴子衆院議員
「課題を並べるだけではなく、課題があるならそれを解決していく、力強いリーダーが必要だと思っている。そういったことからも、私は茂木敏充前幹事長の総裁選挑戦という言葉、大変力強く受け止めさせていただいているし、私も是非ともお支えさせていただきたい」

 自民党 向山淳衆院議員
「少数与党である以上、政策を通すためには、過半数を得るために政策ごとなのか、連立という枠組みで、各党と協議しないといけない。どの党と組んで、どういうビジョンでやるのか、まさに次の総裁選で問われる部分だと思う」

北海道釧路市の鳥取神社です。

石破総理や父で自治大臣などを務めた二朗氏も頻繁に訪れ、農水大臣時代の総理の色紙が飾られています。

 鳥取神社 木下正明宮司
「いろいろ批判を受けながら、粘って、きっちりといいところで退陣されたのかなと。お疲れさまと申し上げたい」

「次の総理」と言われ続け、5度目の総裁選挑戦で、上り詰めた石破総理。

しかし、党内基盤の弱さで、その輝きを失っていきました。

石破茂 総理
「本当に多くの方々に配慮しながら、融和に努めながら、誠心誠意努めてきたことが、結果として(自分)らしさを失うことになったという、一種の…何ていったらいいんでしょう、どうしたら良かったのかなという思いはございます」

かつての人気アイドル「キャンディーズ」の大ファンだった石破総理は、まもなく「普通のおじさん」に戻ることになります。

堀啓知キャスター)
自民党の総裁選選挙管理委員会は、選挙日程を9日正式決定する方針です。

石破総理の辞意表明、なぜ、このタイミングになったのでしょうか?

北海道文教大 宮本融教授)
一言で言えば、前代未聞の総裁リコールが確実になったから。それはさすがに不名誉なことなので撤退するということに尽きますよね。この時期という意味では。

堀啓知キャスター)
これは麻生さんが勢いをつけたとか…

宮本融教授)
そこは必ずしもそうではなくて、むしろ5回生以下の中堅・若手が流れを打って総裁選前倒しに流れていったから、という事になりますね。

堀啓知キャスター)
でも、比較的世論は、どちらかというと石破さんを後押しするような結果になっていたじゃないですか。

宮本融教授)
そこが今回の見どころで。今週末のJNNだと「総裁選前倒しを受けたらどうすべきか」ということに対して、52%の方が「解散総選挙にうってでろ」と言っている訳ですよ。『自民党は悪い、だから負けてしまった。だけど石破さんだけが悪いわけではないし、石破さんを引きずり降ろしている人が戻ってくることはもっと嫌だ。だから自民党の体質を変えてくれと言っているのに、なぜ石破さんは言ってくれないんだ。散々、党内野党のときはあれだけ言っていたのに』という、フラストレーションですよ。

堀啓知キャスター)
国民の方は比較的、本来石破カラーを出してほしかったわけですよね。出せずに、会見のときも言葉を選んでいましたよね。

宮本融教授)
政治的な党内構造や権力のつくり方を見ていると、我々は理解するんですけれど…なにか不満ですね。

堀啓知キャスター)
さて、ポスト石破をめぐっては、次の5人の動向が注目されています。

世永聖奈キャスター)
前回の総裁選上位で、世論調査でも人気が高い高市早苗さんと小泉進次郎さんは有力候補。

石破内閣の官房長官林芳正さん小林鷹之さんは、周囲に出馬の意欲を示しています。

そして、前幹事長の茂木敏充さんは、すでに出馬を表明しています。

堀啓知キャスター)
次期総裁にふさわしいのは誰か、道民に聞きました。

熊谷七海記者
「ポスト石破として名前が挙がっているのがこちらの5人です。この中で誰が次の総理にふさわしいか、札幌で聞いてみます。」

20代・帯広在住
「林さんとか。一番無難。個人的に気になるとろこが少ないという消去法ではありますが」

30代・札幌在住
「僕ら子育てしている世代からすると、同世代の小泉さんだったらイメージも変わるんじゃないかなと。昔は発言とかも何言ってるかわからない部分もあったので、総理大臣になったら失言とか大丈夫かな、という気はする」

 60代・札幌在住
「やっぱり小泉さんかな。やってもらえそうな感じがします。若手で若返りをはかって日本を変えていただきたい」

伊藤順子さん)
次の総裁に重要視されることは何か気になりますね。

堀内大輝キャスター)
求められるもの、ということですか?

伊藤順子さん)
はい。どういうものかなと。

堀内大輝キャスター)
素養というか、資質の部分ですかね。

伊藤順子さん)
誰をどう選んでよいのか…。「消去法で」とおっしゃっていた方も居たと思うんですけど、何を基準にというか、どういう所から見たらよいのかなと。

宮本教授)
有権者から見ているのと、党内から見ているのとでは全然違うんですよね。党内は、衆参両方少数与党なので、与党を維持するためにはどの党と連立が拡大できるか、という話が中心になって来て。じゃあ小泉さんと吉村知事が仲がいいから…みたいな話になるんだけども。一般市民からすると、日本社会がこれだけインフレが進んでいて、子育てとか、現役世代が苦しめられているのは間違いがないので、そういう産業政策、産業構造になってしまっているのをどう変革するか。すっ飛ばして言えば金利上げるのが経済学の教科書的な答えなんですよ。不景気なのに金利上げたら大変なことになる。もちろんそうだから、いたくにの生じるところに集中的な対策をしましょう、というのが、経済政策なんですよ。ところが、「ばらまきましょう」でしょう、これでいいんですか。
僕が一番思っているのは「一般市民が思っていること」よりも、総裁に近い、総裁を選ぶ立場の人たちは「次の選挙のこと」を考えるので、選挙原理主義になるんですよ。じゃあ現金配っておきましょうか、という話を繰り返し繰り返しやって、日本経済が痛んできているんですよ。この辺でそろそろ「政策で勝つ」。自民党がさっき言っていたように「楽しい日本」は国家ビジョンではないですから。どういう日本を作ってくれるんだこの人達は、というのを打ち出してもらわないと、選択のしようがない訳ですよ。まさに「わたしはこれが必要だ、こういう人を選ぶんだ」ということを有権者がガンガン言うことだと思いますね。

堀啓知キャスター)
では、総裁選の具体的な動きについて、東京の自民党本部から堀内さんに伝えてもらいます。

堀内大輝キャスター)
総裁選には「フルスペック型」と「簡易型」の2種類あって、党員投票を行うかどうかの違いがあります。政治の空白期間を短くするためには「簡易型」が望ましいですが、党員の意見をより反映するには、党員投票すべきとの声もあります。

道内選出の中村裕之議員に聞きますと「フルスペックじゃないと意味がない、期間が長くなるのはお詫びしたいが、後々理解してもらえる」と、取材に答えていました。

ちなみに、その中村議員はまだ立候補を表明していませんが、前回に続いて高市さんを推したい、と即答していました。

また、武部道連会長も「フルスペックで、党員の皆さんの意見を聞くべきだ」と話していました。

このため実施に1か月程度が必要なフルスペック型が有力で、22日告示、10月4日投票との声も聞こえてきています。

複数の議員に聞いていて印象的だったのは「トップとして責任を取る決断が1か月半以上遅れた、これが全てだ」と言う声ですね。

ほとんどの議員が口をそろえて言っていたのは「新総裁には何よりもリーダーシップを期待したい」という話でした。

「国家ビジョン、そして外交、他の党との連携の在り方などの模索も含めて引っ張って行ってほしい」という、力強い声が聞こえてきました。

そして「新総裁にかわれば自民党は変わるか」という問いには、複数の議員が「変わる」というようにはっきりと答えていました。

「変わるのは顔だけではなくて、政策が変わる」「具体的な政策も国民のためのものができていくのではないか」と言うような話でした。

堀啓知キャスター)
宮本先生、「フルスペック型」「簡易型」どうなっていくでしょうか。

宮本教授)
フルスペックでいくでしょう。今、党員のお金を集めている所だから、ちゃんと意見を言わせないと党員を継続する意味がないでしょう。

堀啓知キャスター)
党員とはいえ、国民ですからね。広く意見を吸い上げるということなんでしょう。安定した枠組みを作るのが難しい時代になっておりまして、今まさに政治が大きな岐路に立っているのかなと思います。