恵俊彰:
大きなテーマは「真実を知る」ということだと思うんですけれども、グラディスさんの映像を見てどうですか?

しゅうまさん(高1):
「“無知”という怖さ」を感じました。自分が今日本という同じ島国に生きているということもそうですが、それ以上に本当に今沈んでいる国がある。その状況を知らなかったことが本当に怖いと感じました。だからこそ、それをグラディスさんのように他の人たちに伝えていかなければいけないと強く感じました。
東京大学 江守正多教授:
我々はどういうふうに受け止めなくちゃいけないかというと、本当は「あなたたちのせいで私の島が沈んだんだ」と言ってもいいような話なんですよ。なぜなら彼らはほとんどCO2を出していない。先進国がたくさんCO2を出して、ほとんどCO2を出していない国の人たちがそういう目に遭っているということです。
■温暖化が止まっても海面上昇は続いてしまう
授業では、海面上昇と地球温暖化の厳しい関係性についても触れました。

高校1年生:
地球の平均気温の上昇を抑えたら、そこで温暖化は止まるんですか?

東京大学 江守正多教授:
あと30年ぐらいで二酸化炭素を、実質ゼロまで減らすと。ただ実は、1.5℃で温暖化が止まっても、海面上昇はまだ続いてしまうことが分かっています。
温暖化をストップできないと、どのように地球の温度が変わっていくのか。江守教授がコンピュータでシミュレーションしています。

【温暖化対策なしのケース】と、【気温上昇を2℃未満に抑えたケース(パリ協定の目標)】で、1950年から地球全体の温度を見ていくと…

最初のうちはあまり差異は見られませんが、北極海周辺から徐々に変化が出始めます。

2100年には、違いが顕著に。【対策なし】の方では、地球全体が温度上昇を表す赤~白に。【2℃未満のケース】では、気温上昇はしているものの、北極・南極周辺に抑えられているのが分かります。
東京大学 江守正多教授:
【対策なし】の方は、産業革命前から世界平均で5℃ぐらい上がる予測です。だけど“平均”なので、場所によってはもっと上がっている。北半球の陸上の高緯度域では、北極圏で雪や氷が減ることで温度上昇が増幅されるので、もっともっと上がると。
恵俊彰:
目標を達成したとしても、海面上昇はまだ続いていくんですか?
東京大学 江守正多教授:
そうなんですよ。温暖化が止まっても海面上昇は何百年と続いてしまう。ただ、低い温度で温暖化を止めるほど、将来の海面上昇も相対的に低くなって収まっていきます。【対策あり】の場合で、例えば2100年の時点で海面が60センチぐらい。【対策なし】の方だと、1メートルとか、最悪の場合、南極の氷が崩れ始めたりすると2メートル近く上がる。なるべく低く抑えるということは当然意味があるわけですね。

いつきさん(高1):
気候変動に対して危機感がまだまだ足りてないなと思っています。私は、毎週仲間たちと一緒に経済産業省前でスタンディングをしてるんですけど、実際に立ち止まって見てくれる人はすごく少なくて、通り過ぎていく人の方が多いんですよね。
恵俊彰:
経済産業省の前でどういうことやってるんですか?
いつきさん(高1):
基本的にはプラカードを持って普通に立ってるだけなんですけど。
恵俊彰:
いつきさんたちが考えて、何か少しでも伝えたいという“想い”ってことですよね。「真実を知る、そして伝える」って、もう既にやっているわけですね。
【ひるおび 出前授業:後編】では、”温暖化が続くなら子どもは産まない”『バースストライキ』について高校生が白熱討論を交わします。
(ひるおび 2022年11月3日放送より)