投てき種目は金メダリストたちが好調、北口もケガからの復調に自信

投てき各種目は、金メダリストたちが健在ぶりを示している。

砲丸投はJ.スヒルデル(26、オランダ)が最終戦チューリッヒ大会に20m26で優勝。年間でもダイヤモンドリーグ4勝と安定感もある。しかし前回のブダペスト金メダリストのC.ジャクソン(31、アメリカ)も、ブリュッセル大会に20m90で優勝。年間3勝で、20m95のシーズン世界最高も出している。21mを超える記録を期待できるのはジャクソンか。ジャクソンが勝てば世界陸上3連勝となる。

円盤投はパリ五輪金メダリストのV.オールマン(30、アメリカ)が、最終戦に69m18で優勝。ダイヤモンドリーグ6戦6勝、4月には73m52の今季世界最高、世界歴代6位と死角はない。

ハンマー投はダイヤモンドリーグ種目ではないが、C.ロジャーズ(26、カナダ)がシレジア大会で75m39で優勝。今季10戦9勝と抜群の勝率を誇る。オールマンとロジャースのパリ五輪金メダリスト・コンビは、東京世界陸上にも優勝候補の絶対的本命として登場する。

それに対して女子やり投は、パリ五輪金メダルで超人BIG7の1人、北口榛花(27、JAL)が故障の影響でローザンヌ大会が50m93の10位、最終戦チューリッヒ大会が60m72の6位と、8月のダイヤモンドリーグで上位に入っていない。

ローザンヌ大会はA.ヴィラゴシュ(21、セルビア)が63m02で優勝し、2位に4m強の差をつけた。最終戦チューリッヒ大会はE.ツェンコ(23、ギリシャ)が64m57で優勝。ヴィラゴシュは62m96で2位だった。

ダイヤモンドリーグ6戦4勝のツェンコと、ダイヤモンドリーグは1勝だが2位が3試合あり、67m22のシーズン世界2位記録を投げているヴィラゴシュが世界陸上では金メダル候補か。今季65m89のU20世界記録を投げた顔子怡(18、中国)がダークホース的な存在だ。3人とも若手で勢いがある。

もちろん北口も、金メダル候補から外せない。8月31日の取材に「ひじの痛みはない」と明言した。「痛めた箇所ではない部位が上手く動かなかったり、痛みが出たりして投げられませんでしたが、チューリッヒでやっと普通の投げができました。ひじ以外のコンディションはパリ五輪より仕上がっている自信はあります。ケガをしましたが、目標は金メダルで変わりません」。

23年のブダペスト世界陸上、昨年のパリ五輪と連続金メダルの北口が、若手の勢いを押し返すつもりだ。

(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)