ホジキンソン、ツェガイ、キピエゴンと、シレジア大会で好記録続出
800mでも今季世界最高記録が誕生した。パリ五輪金メダリストのK.ホジキンソン(23、イギリス)が、シレジア大会で1分54秒74の今季世界最高で優勝。ローザンヌ大会も1分55秒69で制した。
ホジキンソンにとってシレジア大会は、パリ五輪以来1年と15日ぶりのレース。「準備はできていた」と言うが、シーズン初戦で1分54秒台には驚かされた。「東京世界陸上まで今日とローザンヌしかレースがないので、速いタイムで走りたかった」。
パリ五輪では1分56秒72とタイムは速くなかったが、T.ドゥグマ(24、エチオピア)に0.43秒差で競り勝った。ラストの強さは昨年実証済みなので、ダイヤモンドリーグで速いペースに対応できることを確認できれば、東京世界陸上の優勝確率が上がる。
シレジア大会にはホジキンソン以外にも、中・長距離の東京世界陸上ヒロイン候補が集結した。1500mではG.ツェガイ(28、エチオピア)が3分50秒62の今季世界2位記録で優勝。B.チェベト(25、ケニア)に4秒強の差をつけて圧勝した。同大会は3000mも行われ、超人BIG7の1人、F.キピエゴン(31、ケニア)が8分07秒04の世界歴代2位記録で優勝した。
キピエゴンは前回ブダペスト大会では1500mと5000mの2冠。東京でも連続2冠を狙ってくるだろう。シレジア大会は両種目の間の距離で、スピードとスタミナの両方を確認する狙いだったと思われる。
1500mでは昨年のパリ五輪も金メダルを獲得したキピエゴン。今季も3分48秒68の世界記録をマークし、絶対的な本命に挙げられている。シレジア大会3000mは過去32年間の世界最高タイムで、2位に27秒もの大差をつけた。連続2冠へ準備万端といったところか。
しかし昨年のパリ五輪で5000mと10000mの2冠を達成し、キピエゴンの2冠を阻止したのがチェベトだった。昨年10000mで28分54秒14、今年は5000mで13分58秒06と、両種目とも“壁”を破った唯一の選手となっている。5000mの世界記録は前世界記録保持者のツェガイと直接対決したレースで破っている。
チェベトはキピエゴンに、パリ五輪では勝ったが今季は5000mで直接対決はしていない。シレジアで1500mに出場したのはキピエゴン対策として、スピードを出すレースをしたかったのかもしれない。
ツェガイは22年世界陸上オレゴン5000m、23年世界陸上ブダペスト10000mの金メダリスト。1500mでもオレゴンで銀メダルを獲得した。昨年、今年とキピエゴンとチェベトのケニア・コンビに押され気味だが、もう一度女王の座に返り咲きを狙っている。
ツェガイで注目されるのは種目選択だ。ディフェンディングチャンピオンとして10000mのタイトルにこだわるのか。その場合は目の前で、自身の世界記録を破られた5000mとの2冠を狙ってくるだろう。あるいはシレジア大会で圧勝した1500mで、キピエゴンに勝負を挑むのか。
日本勢では田中希実(26、New Balance)がシレジア大会3000mで8分45秒80の13位、ブリュッセル大会5000mで14分37秒19の9位という成績だった。5000mは自己4番目のタイムで、一昨年、昨年と9月にシーズンベストを出していることを考えると、東京世界陸上の5000mで2大会連続入賞が期待できる。
東京世界陸上の女子中・長距離3種目の実施日は以下の通りである。
1日目(9月13日):1500m予選、10000m決勝
2日目(9月14日):1500m準決勝
4日目(9月16日):1500m決勝
6日目(9月18日):5000m予選
8日目(9月20日):5000m決勝