「毎日消えたかったけど、今は生きたい」不登校は“無駄”じゃない

佐藤陽生さん(18)
「一番は家庭環境ですよね。お父さんが手を上げてきて、それで嫌になったのもそうだし。お父さんとお母さんのケンカを聞くのがすごく嫌で。友達とかもそんなにいなかったんで、毎日死にたいと思ってた」
中1の夏休み明けから不登校になり、自分の部屋からも出られなくなりました。

佐藤さん(18)
「誰にも見て欲しくなかったんです、自分のことを。誰からも目を付けられない場所に、ずっといたいって思ってたから、部屋にこもってたんだと思う。死にたいっていうか消えたくて」
今は、夜間定時制高校の生徒会長。「消えたい気持ち」を変えてくれたのは、通学のため、今は離れて暮らすお母さんでした。

佐藤さん(18)
「学校行きたくないのに、(お母さんは)学校行きなさいと言う。自分のこと、どうでもいいからそう言うのかなと思っていた。本当に死にたくて、自分を刺そうとした時に、お母さんが来て止めてくれて、“自分のこと思ってくれてるんだ”って、自分もお母さんも大泣きで抱き合った」
不登校の日々は、無駄じゃなかった。引きこもっていた時、“生きる理由”を見つけたから。
YouTubeで知ったヒップホップ。つらい記憶が歌詞に変わる。不登校の経験だって“武器”になる。今は音楽の世界で生きることを目指しています。

佐藤さん(18)
「めっちゃ緊張してます。楽しみます」
8月、ラップバトル全国大会の予選に参加。試合は日曜の夕方に行われ、小学1年生も出場していました。
“周りと違う存在”を受け入れない世界もある。でも、受け入れてくれる世界もある。
ベテランと対戦し、延長の末、敗退しましたが、誰にも見られたくなかった頃の自分は、もういません。

佐藤さん(18)
「逆にもう見られて、自分のラップを聞いてほしい。自分の好きなものを見つけて、練習していく中で、だんだん自分に自信がついてきて、変わってきたと思います」