東京オリンピック・ボクシング女子金メダリスト、鳥取県米子市出身の入江聖奈選手が、集大成の時を迎えています。
入江選手は大学限りでボクシング引退を表明していて、27日まで行われる全日本選手権が現役最後の大会に。
お世話になった方々に「結果で恩返ししたい」と意気込みます。
大会を目前に控えた17日、入江選手が所属する日本体育大学ボクシング部を訪ねました。
練習場はさぞ張り詰めた空気、かと思いきや、学年関係なく会話が飛び交う和やかな雰囲気でした。


入江聖奈選手、22歳。
東京都世田谷区に入江選手が通うキャンパスはあります。
ボクシング部員は男子15人、女子15人。
週6日行われる部活のメニューは、部員自らが考えているといいます。
「じゃあ55分から、シャドー1回目始めましょう」
練習が始まると雰囲気は一変。
チームの集中力が一気に高まり、入江選手の積極的に声を出す様子が印象的です。

入江選手は女子のキャプテン。
「意識的にチーム作りを行っているわけではない」と話しますが、その存在がチームメイトにとって大きな力になっていることは間違いありません。
1年生部員は
「聖奈さんがいると、活気が上がります。みんな気分も上がって。声とかめっちゃかけてくれます」
3年生部員は
「誰かが気分落ちたりしてるときでも、元気出していこうみたいな」

この日の練習後には、卒業アルバムに載せる集合写真の撮影を行いました。
大学4年生、学生生活も残りわずかです。
入江聖奈 選手
「私は早く卒業したいので、同期に会えない寂しさはありますけど、それ以外は特に…ドライなところが出ているのかもしれません」
2021年の東京オリンピック。
得意の左ジャブと俊敏なステップワークを生かして、日本女子として初めて金メダルを獲得し、日本中に感動を与えました。

そして大学限りでのボクシング引退を表明している入江選手。
11月初めには、最後の国際大会となるアジア選手権に出場しました。
初戦の相手は、世界選手権で2度の優勝を誇る台湾出身のリン選手。
2020年3月、オリンピックのアジア・オセアニア予選では0-5で完敗。
これまで背中を追ってきた思い入れのある選手です。
序盤は、相手に押される場面もありましたが、その後は入江選手のペースに持ち込み4ー1で勝利。
喜びを全身でかみしめると、感極まり涙を流す場面もありました。
この勝利で勢いに乗り、準決勝は5-0で快勝。
しかし、決勝では長身サウスポーの選手に対しやりづらさが目立ち、後半は猛攻で逆転を狙うも、接戦の末敗退し、銀メダルで幕を閉じました。

入江聖奈 選手
「ずっと目指してきた、憧れてきた相手に勝てたという嬉しい感情もだし、決勝で負けてしまったっていう悔しい感情も…どっちも大きくて、終始情緒不安定でした」