投機バブルに「復刻シリーズ」でコントロール
野村:やはり気になるのは、このトレーディングカード市場がこの先どうなっていくかという点です。
comugi:直近の課題のひとつが、偽造品問題です。高価なカードには当然、偽物が登場します。
ブランド品やスニーカーと同じで、偽造品の鑑定サービスが市場として広がっており、例えばメルカリは有料で鑑定サービスを提供しています。人間の目だけでなく、AIの画像認識のような最先端技術も導入して精度を上げていく動きがあり、市場としての成熟を感じます。
野村:値段が上がりすぎると、バブルのようになることも起きるのでしょうか?
comugi:NIKEのスニーカーが一時期バブル化して弾けたように、ポケモンカードも一度バブルが来て少し落ち着いたタイミングがありました。これはカードを発行する側が、投機的な動きに対して復刻シリーズを出すなどして供給をコントロールしているからです。
一番サステナブルなのは、需要と供給が良い状態で安定し、ゲームを楽しむという本来の価値をきちんと担保すること。投機勢が入りすぎるとコミュニティが崩れてしまうので、その需給バランスをコントロールすることが非常に大事になっています。
野村:そもそも、投機に使われるのは企業側からしたら本意ではないはずですよね。
comugi:そうですね。鑑賞用にコレクションする程度なら健全な趣味ですが、最初から高く売るために買うのは健全ではありません。
この市場をいかに壊さず持続可能にするか。これは、最近話題になったヒカキンさんのカップラーメン「みそきん」が即品切れになり転売された問題にも通じます。SNSで瞬間的に影響を受けやすい現代において、価格という形で顕著に現れるトレカ市場のコントロール方法は、一般のメーカーも学ぶところがあるのではないでしょうか。