「日本で起きないわけがない」 SNSで見られた『不自然なバズり』
日本ではどうなのか。実は選挙介入を疑わせる事例は既に起きている。
◎平将明デジタル大臣(7月15日)
「海外においては他国から介入される事例なども見て取れる。今回の参議院選挙も一部そういう報告がある。検証が必要だと思う」
◎青木一彦官房副長官(7月16日)
「我が国もこのような影響工作の対象になっているとの認識のもと/偽情報等の拡散を含め、認知領域における情報戦への対応能力を強化することとしている」
参議院選挙の最中、選挙介入の疑惑について記者会見で問われ、平デジタル大臣と青木官房副長官はこのように話した。現時点では大きな騒ぎにはなっていないものの、一体何が起こっていたのか。

情報空間の分析を専門とする会社「Japan Nexus Intelligence」の代表で、平デジタル大臣に情報提供をしたという髙森雅和氏は、Xのあるアカウントの投稿が拡散される過程を分析したところ、その約35%がプログラミングによるものだった可能性があるという結果が出たと話す。
プログラミングによる拡散とは何なのか。
髙森氏によると、『何らかの組織』があったとして、その組織が数千、数万という数のアカウントを用意する。自分たちが広げたい投稿に対して、用意したアカウントを使い、大量に「いいね」や「リポスト」を付けることで拡散していくということだ。
今回、この『何らかの組織』が、外国勢力によるものなのではないかと疑われているわけだ。
大量のアカウントはプログラミングによって動作を指示されており、投稿から2、3分で大量の「いいね」を付けるなど、人間的ではない、不自然なバズりを引き起こしているという。一度バズれば、おすすめやランキングにも表示されるようになり、さらに拡散されるメカニズムになっている。専門家の世界では「Bot(ボット)」と呼ばれている。
髙森氏が調査したアカウントは、参議院選挙以前から石破総理や岩屋外務大臣を批判するような内容などを発信し、SNS上で極右的な主張をする、俗に“ネトウヨ”と呼ばれる人々を煽るような主張を繰り返していた。ロシアとのつながりも指摘されていたが、髙森氏は「投稿主がロシアと繋がってるみたいな評価は判断が早すぎる」と話す。
当然、個人がどんな主義・主張を持つのかは自由だ。ただ、一部の主張が外国勢力によって意図的に広がるように操作されていたとするならば、深刻な問題である。
「日本で選挙介入が起きているのか、いないのか、今の調査では断定できない。しかし、世界的にはある話なので、この先日本で起きないわけがない」と髙森氏は指摘する。