「食事も健康的なものを意識」
食事の時間になると、ワーホルムは冷蔵庫からお弁当を取り出した。

Q.昼食は家から持ってきているんですか?
ワーホルム:そうだよ。私とコーチのために料理を作ってくれる人がいるんだ。平日の朝食・昼食・夕食を作ってくれる。できるだけ健康的に食べるようにしているよ。
Q.誰かが料理してくれるんですね。
ワーホルム:知り合いが作ってくれるんだけど、タンパク質・炭水化物など必要なものを適切なバランスで作ってくれる。それを家まで配達してくれるんだ。私の家で作っているわけではないよ。
Q.今日のメニューは?
ワーホルム:今日はビーフサラダ!とても美味しいよ。
Q.何が入っているんですか?
ワーホルム:お肉とキヌア、そしてピーマン、きゅうり、玉ねぎが入っている。とても健康的だよ。
Q.甘いものとかは食べないんですか?
ワーホルム:たまにお祝いの時とかに食べる。食事面に関しては、あまり厳しくしすぎないことが重要だと思う。人生においていくらかは自由が必要だね。できるだけ健康的な食事をするように努めているけど、週末に厳しいトレーニングをやった後には少しだけ甘いものを食べるよ。
「オラフ考案のマシン」
小休憩を挟み、最後はウエイトトレーニングへ。腹筋を刺激するトレーニングや、ハムストリングスを鍛えるトレーニング等、数種類のメニューを淡々とこなしていくワーホルム。その中で最も印象的だったのが、トレーニング部屋の一番奥にそびえたつ、見慣れないマシンを使ったトレーニングだ。

Q.これはなんですか?
ワーホルム:オラフが考案したトレーニングマシンだよ。
Q.ここにしかないんですか?
ワーホルム:そうだよ。
オラフコーチ:これはトリプルエクステンションを鍛える重要なトレーニングなんだ。重りを引き上げて、つま先に向けて押し、追加負荷をかけていくイメージだ。
(※トリプルエクステンションとは、足首・膝・股関節を同時に伸展させる運動のことで、ジャンプやダッシュ等で爆発的な力を出すために重要な動きとされている)
ワーホルム:このトレーニングは、トリプルエクステンションに効くオラフコーチが考えた天才的なアイデアなんだ。大きな怪我のリスクがなく、重いものを持って負荷をかけられるんだ。
トリプルエクステンションの動きを意識させながら、反発が効くクッションに向けて重りを垂直に叩きつけ、上下運動を作っていく。この上下運動を10回ほど連続でおこなうため、筋肉の消耗は相当激しいものだと考えられるが、ワーホルムは淡々と自分の体に鞭を打ちながら、時折笑顔も交え、このウエイトトレーニングに励んでいた。

最後のトレーニングを終えた時刻は午後5時30分。この日は、ウォーミングアップと食事休憩も含めると7時間30分にも及んだ。過酷なトレーニングが続く中でも、最後まで真摯に取り組んでいた世界記録保持者は、「東京世界陸上への準備は万端だ!」と、笑顔で応えてくれた。