◆高知中央野球部・松原好光部長
「『(部長の席が)あくけどやるか』って連絡が来て。即決でした。教育実習で3週間中央に行って、『いずれ戻りたい』と思っていました。『高校野球で指導するなら中央しかない』と自分で決めてましたし」
そして2025年4月、松原さんは4年ぶりに高知中央野球部に帰還。同じタイミングで新監督に就任した山野司(やまの・つかさ)監督とともに選手の指導にあたりました。
◆高知中央野球部・松原好光部長
「選手の実力はあるなと思っていましたが、基礎を鍛えないとということを山野監督とは話していました」
ゴロ補球とセンター返しの打撃、基礎を徹底的に選手にたたき込んだ松原さんと山野監督。ついに2025年の夏の大会を迎えました。
高知中央はエース松浦伸広(まつうら・のぶひろ)投手の好投と打線のつながりが光り、決勝に進出。決勝の相手は、かつて松原さんが「打倒」を掲げた、そして今の高知中央も勝つことが目標の名門・明徳義塾です。

◆高知中央野球部・松原好光部長
「思っていた以上に粘り強さを出してくれました。明徳義塾は簡単な相手ではないと感じていました。でも10回対戦したら3回勝てる相手だと思っていたのでミスなくやれば勝てるんじゃないかと」
決勝戦プレーボール直前、高知中央はエース松浦投手がひじを負傷し登板不可能となるトラブルが発生。背番号10の堅田徠可(かただ・くうが)投手が急遽マウンドに上がると、試合序盤、明徳義塾に2点を先行されます。
それでも5回までに高知中央が追いつき2-2で終盤へ。両先発投手の球数が100球を超える死闘となりました。松原さんは感情をむき出しにして、かつての因縁の相手と激戦を戦う選手に声援を送りました。

◆高知中央野球部・松原好光部長
「(私が)現役時代に春野で戦った明徳義塾とやっていることもあって、あれぐらいの気持ちが出るほど、選手の気持ちになっていましたよね。“生徒ではなく後輩”として選手たちを見ていました」
迎えた8回ウラ、高知中央は神村風汰(かみむら・ふうた)選手のタイムリーヒットでついに逆転。そして9回表堅田投手が明徳義塾の最後の打者を見逃し三振に抑え、2年ぶり2回目の夏の甲子園出場を決めました。
◆高知中央野球部・松原好光部長
「うれしかったですけど、びっくりしました。実感がわかなかったです。放心状態になりました」
松原さんは、戦うことも、目指すこともできなかった5年前の夏を経て、うれしい意味での放心状態になったといいます。