■自民党内に根付く“勘違い”を変えることが日本を変えることにつながる


ーー女性にとって自民党は最初からスタートラインがずらされている場所、という印象を受けますが、それでも自民党で総理大臣になることを諦めてはいませんか?

自民党の中で女性が議員として生きづらいということは、私はよく理解してるし、でもそこで生き抜くことができれば、色んなことができるのかなって。

確かに楽な道もあると思う。自分の気の合う仲間たちと党を作って、そこでやってくっていうのもあるけど、やっぱりあえて自民党の中にある根強い女性に対する勘違い。自分たちのパートナーと思いきれてない人たちを変えていくことが、やっぱり日本を変えていくことかなって、自分としてはもう何十年も思ってきたので。でも、ずいぶん変わってきたと思います。だから私は悲観的ではなく、やはり与党が変わらなければ日本は変わらないなっていうことで、自民党にしがみついてる感じはします。


ーー自民党内の議員の中でも世代によって意識に違いはありますか?

変わってきました。特に若い男性、自民党の男性議員はずいぶん変わってきて、私なんかはもう30年近く「夫婦別姓」に取り組んでいるわけだけど、全然、男性議員から理解されない。大切な政策だと思っていたんですけど、最近はむしろ私よりも30代、20代の若手の男性議員が熱心に「自分のパートナーを幸せにしたい」というスタンスで取り組んでくれているし、「フェムテック議員連盟」っていうの作ったんですね。これは女性のウェルネスです。生理とか妊娠とか出産とか更年期。これをターゲットにした製品なんかを、どんどん日本の中で育てていこうという議員連盟だけど、むしろ若い男性が熱心で。自分がすごく感動したのは、若い男性たちが、「生理」っていう言葉を堂々と会議の場で発言できるようになったということ。

野田氏が会長を務める自民党の「フェムテック振興議員連盟」のメンバーには男性議員も

なかなかニュースって悪いところばかり伝わるので、良くなってきたところというのは伝えられにくいんだけど、私としてはそういう若い男性議員たちのウェーブを毎日感じていて。“ママとしては嬉しい”みたいな感じ。やっぱり、国民の中に固定化されている、なんとなくおじいさんで、頑固で、ちょっと女性に対して上から目線っていう政党のイメージを変える人たちも、中にはまぁまぁいるってことを知ってもらうといいかもしれません。

■物事が動き始めている・・・“女性総理”も?


ーー女性総理が誕生したらどんな影響があると思いますか?

今、色々な政策を作る職場にいて、すごく感じているのは「女性でなければ答えが出せないような国の政策課題」というのが山積してきているなと。例えば、「少子化問題」というのはまさにそうで、なぜこういうことが起きたかというと、社会が男性しかいないような仕組みで出来ていて、女性は人生の中で子どもを妊娠し、産み、育てるという特性があるにも関わらず、日本の社会が一律男性のような働き方を求めてきた結果だと思うんですね。

少子化によって人口が減っていくと、文化とか芸術を始めとして、せっかくこれまで培ってきたものを継承できなくなるという、国としての“最大の危機”を迎えている中、妊娠、出産、育児を通過する人たちの意見が国のど真ん中に来ない限り、人口減少を止められないということがもう明らかなんですね。

私はあまり悲観的になったりせずに、割と早いスピードでこの国全体がこれまで使われてなかった「女性の特性」を必要としている、女性が面倒くさくてもやらなきゃいけない舞台が政治だけじゃなくて、様々なところで準備されるという機運を、私は30年近く政治やってるんだけど一番感じていますよ。だから物事が割と動くし、女性がトップになった後もう溶け込んでるでしょう。日本が天動説から地動説に移ってきている。パラダイムシフトが起きてきているから、私はやっぱり、全ての女性がどんな立場であれ、半歩でも一歩でも前に進むだけで、全てのシーンが変わると思います。

(2021年3月26日放送・配信『政治をSHARE』より)