警察が製作した秘蔵映画

戦時中の貴重な映画(「警察のひととき」1942年頃製作)がある。奈良県の警察署が製作したもので、特高警察の活動の一端が紹介されている。
字幕
「特高主任は、思想、経済、政治、各般の社会事象、防諜、検閲などの時事諸問題を」

署長に報告する特高警察官。制服ではなく背広姿だ。

「防諜当番」と掲げられた家から出てきた女性。後半は市民による防諜活動、いわゆる“スパイ防止”の意義を訴えるストーリーになる。
字幕
「おや怪しい男だ。警察の方から、防諜の話を聞いているが、もしかしたら?」
スパイではないかと疑う女性。帽子の男が残していったビラをすぐに確認する。
字幕
「アッ!!大変な不穏ビラだ。きっとスパイの仕事に違いない。早く警察へお知らせしよう」

知らせを受けた警察は手配中の上海のスパイとみて、一斉に出動。そして、逮捕に至る。映画の最後、通報した女性は、署長から表彰を受ける。

署長(映画に出演した)の息子
「これが母親と僕や。これ親父。親父を送り出しているところ」
撮影の指揮は出演する署長本人がとっていた。フィルムは家族の家で見つかったが、上映されたかどうかはわからないという。

署長(映画に出演した)の息子
「当時の官民が仲良く協力しながら。結局はそういう意識で、みんな頑張っていたということでしょう」

小樽商科大学 荻野富士夫 名誉教授
「駐在所や派出所が網の目のように張り巡らされてる。情報が市民から警察に届いて、特高警察へ繋いでいく。倫理的、道徳的な責任が、当局からも追及されますけれども、社会の人からも同じように追及される」

















