「あまりに被りすぎている。ずっと断り続けていた」作品とは

徹底してミニシアター系作品に出演してきたオダギリが出演した数少ない“大作”のひとつが、映画「東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~」(2007年)。リリー・フランキーの同名小説を原作にした作品で、オダギリ演じる主人公“ボク”と、樹木希林演じる“オカン”による、病を患う母とそれを看取る息子の物語だ。
実はこの作品への出演をオダギリは「ずっと断り続けていた」のだという 。「うちの母親も体調が悪くて入院していたんです。とてもじゃない、今この作品を演じられる精神状態にない、あまりに(状況が)被りすぎていると、ずっと断り続けていたんです」。自身の境遇と重ねてしまい、出演をためらっていたという。
出演を決めたのは、その母の言葉だった。「見舞いに行ったら母が原作を読んでいて。私のせいでできないのはもったいないから、絶対にやってほしいと本人から言われまして、母親の最後の望みとして、これをやってあげるのが親孝行なのかもしれないな、と思って」。母への思いが伝わるエピソードに、スタジオからも感嘆の声が上がった。