被爆80年を迎え、広島電鉄がことしで製造から100年の最も古い被爆電車を5年ぶりに走らせました。鉄道マンたちの運行にかける想いを取材しました。
広島電鉄で現存する車両で最も古い電車「156号」です。1925年に製造され、今年で100歳。大正時代から4つの元号を生き延びてきました。
小さな車体が特徴のこの電車。156号は、車輪と車軸を組み合わせた輪軸が前後2つなことから「2軸車」と呼ばれます。2軸車はカーブで車輪とレールの角度差が大きくなり、これ以上車両を大型化できないデメリットがありました。そのため、前後にあわせて4つの車軸があり、カーブで車輪がレールに沿って走れる車体の大きな「ボギー車」に役目を譲ることになります。

1942年には、いまも営業運行しているボギー車の被爆電車650形が導入。車体の小さい156号は、1971年に現役を引退しました。
引退後は、江波車庫に留め置かれてめったに動かないことから、鉄道ファンからは「江波の眠り姫」とも呼ばれています。そんな156号が先週、5年ぶりに広島の街を走ることになったのです。