「防空壕の中で震えていた」

この日、名古屋の戦争資料館「ピースあいち」で、豊田市の高校生に向けて戦争体験を話します。

(森下さん)
「操縦席が見えるほどの低空を悠々と飛行するB29を見ていました。ジュラルミンが輝いてキレイだった。本当にキレイだった。『キレイだなぁ』と言ったら姉に怒られました。『敵の飛行機だ』と」

自らの体験を描いた絵を交え、これまで15年以上に渡り、80回以上の語り部活動をしてきました。

(森下さん)
「何が起きているかわからない、どうしたらいいかわからない。防空壕の中で震えていただけですね。早く終わってほしい、早く終わってほしい…こんなことは誰にも経験させたくないし、私も二度としたくない」

戦後80年を迎えた中、気がかりなのは戦争の「風化」です。

(森下さん)
「あと20年たてば1世紀。私の生きている間は戦争を繰り返すようなことは何が何でも起こらないように、そのために努力したいと思っています」

ボブさんもまた、あの戦争を語り継ぐ活動を続けていました。帰国後、新たに4枚の絵を描き上げたのです。地面にひれ伏す坊主頭の人たち。「こんなはずではなかった」という名の絵です。

メールではボブさんのこんな想いが寄せられました。

「世界は第2次世界大戦以来、最も多くの危機に直面しています。私はその個人的な状況に向き合うイメージを描きたいのです」

生前、戦争を語らなかった父の遺品から始まった戦争への問いかけ。日米両国で、戦後80年を語り継ぐ人たちがいます。