日本でも制度上の位置づけを変える議論が始まっている「暗号資産」。その現状と今後の可能性を、暗号資産取引所大手『ビットバンク』の廣末紀之社長(57)に聞く。
価格高騰の陰に「ドル覇権強化」の狙い
7月14日、1ビットコイン=12万3089ドル(約1800万円)となり史上最高値を更新した暗号資産の「ビットコイン」。

暗号資産とは、インターネット上でやり取りされる「通貨のような財産的価値」のことだが、紙幣や貨幣などのような実体はない。
ビットコイン保有歴3か月の女性:
「結構増えた。思っていたよりも全然。こんなにって感じ」
保有歴1年の男性:
「何か怪しいものとして見られがちなビットコインだけど、そうじゃないという理解が広まればいい」

なぜビットコインの価格は上がり続けているのか―
暗号資産取引所大手『ビットバンク』(東京・品川区)のマーケット・アナリストにその理由を聞いた。

『ビットバンク』マーケット・アナリスト 長谷川友哉さん:
「アメリカで“暗号資産の規制緩和と明確化”という動きがあり、そういったところに反応して相場が上昇している」
トランプ大統領は「アメリカを暗号資産大国にする」という構想を掲げていて、7月には「ステーブルコイン」の規制整備に関する「ジーニアス法」が成立した。

「ステーブルコイン」は、ビットコインと同じ暗号資産の1つだが
▼価格を安定させるためドルなどの法定通貨や金などに連動させている
という点でビットコインとは異なる。
ジーニアス法の狙いは、何なのか―
長谷川さん:
「従来の金融システムよりも遥かに安価に国際的な送金ができるステーブルコインをどんどん推し進めていって、“ドルの覇権を強化”していく狙いがある」
日本でも「決済手段」から「投資対象」へ
日本でも金融庁の審議会で、「暗号資産に関する制度の改正」について7月から本格的に議論が始まっている。

現在、暗号資産は日本では「資金決済法」で“決済手段”として位置づけられている。
その一方で最近は、暗号資産が“投資目的”で取引されていることから、「金融商品取引法」で、株式などと同じ金融商品として位置づけるかどうかが検討されている。
日米で広がる暗号資産の規制緩和は、ビットコインにどのような影響を与えるのだろうか―
『ビットバンク』マーケット・アナリスト 長谷川友哉さん:
「アメリカ政府が3月に『戦略的ビットコイン備蓄(準備金)』を創設させた。アメリカ政府がビットコインを定期的に買っていくという運びとなれば、新たな実需の創出となるので、“相場にとってもプラスの材料”になっていく」