祖母の傷跡と語られなかった真実

地元で暮らす佐藤巳次さん(72)は、子どもの頃の記憶を振り返ります。

佐藤巳次さん(72)
「おばあさんの左側の背中に穴が空いているわけですよ。べろんと。肩のところに皮だけこうなって、だから手が通せる感じになっている。別に、それはもう、本人は痛くない状況だから『なんでこうなっているの』って子どものときは触ったりしたけど、本人は何も言わないし、亡くなった後に聞いたら『実はそうなんだ』と」

祖母のハルイさんは空襲で大けがをしていましたが、本人から空襲の話を聞いたことはありませんでした。また、学校で学んだ記憶もありません。

佐藤巳次さん(72)
「子どもたちに『そういうことあったんだ』って教えていいれば、ひょっとしたら誰かもっと調べる人が早く出たかもしれない。遅かったですよね。風化し始めたころに教え始めたから、こんなんなっちゃった。だから、これからいろいろな事件やなんかがあってもちゃんとした資料を残さないとダメですよ。きちっとして、残して同じことを起こさないためにも」